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2010年08月30日(月) ペケルマンか、ザッケローニか

サッカー日本代表監督の決定について、2人の候補者の名前がほぼ同時に報道された。有力なのは、ローマ発共同によるもので、30日付のイタリア紙レプブリカの報道に基づき、アルベルト・ザッケローニ(57)に決定したと報じている。ザッケローニは、セリエAのACミランやユベントスを率いた経験を持つ。

他方は、元アルゼンチン代表監督のホセ・ペケルマン(60)。こちらの報道はどうも、推測・憶測の域を出ないように思える。ペケルマンは、1994年に就任したアルゼンチン代表ユース監督として、FIFAワールドユースを3度も制覇している。また、2004年には、アルゼンチン代表監督に就任し、2006年ドイツ大会では、グループリーグを無敗で突破したものの、ベスト8を賭けた試合で、地元ドイツに敗退している。

ことの真偽は、当該コラムをアップした直後に判明するのであろうけれど、2人の候補者のうちどちらがいいかと問われれば、当然、ペケルマンを挙げる。ザッケローニには代表監督のキャリアがないが、ペケルマンはW杯にも出ているし、ユースの代表監督経験が豊富。若手育成に実績がある。

イタリアとアルゼンチンの代表サッカーのスタイルは違う。前者は守備的、後者は攻撃的なイメージを受けるが、ザッケローニは必ずしも「カテナチオ」に徹するタイプではないといわれているから、守備偏重だともいえないようだ。

どちらになっても、不安はある。最も心配なのは、日本のサッカー協会が「強化」よりも「興行」を優先する点だ。外国人監督が、日本サッカー協会の流儀に辟易すれば、モチベーションが低下し、どちらが代表監督に就任しても、短命で終わる可能性が高い。日本サッカー協会の商業主義と対立しながら、純粋に強化を進めるのは至難の業だろう。

これまで日本代表監督を務めた外国人監督は、オフト(オランダ)、ファルカン(ブラジル)、トルシエ(フランス)、ジーコ(ブラジル)、オシム(ボスニア・ヘルツェゴビナ)の5人。その中で、いい意味で文化的軋轢を生じせしめたのは、トルシエとオシムだった。異文化を受け入れることで、思わぬポリバレント(化学反応)効果が生じることがある。

筆者は、「ペケルマンに決定」が誤報でないことを祈っている。


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