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2010年07月12日(月) オランダが負けてよかった

サッカーW杯南アフリカ大会は、スペインの初優勝で終わった。話題のタコのパオロ君がスペイン優勝を予想したようだけれど、スペインは2008年欧州チャンピオンでもあるわけで、順当な結果ともいえよう。筆者の大会前の予想は、イタリア優勝(前回王者)だった。そのイタリアは1勝も上げることなく、グループリーグで敗退した。筆者の予想はまったく、かすりもしなかったわけで、とんだ赤っ恥である。

ところで、筆者も決勝に限れば、オランダの負けを予想していた。その内容は、別のコラムオレンジ軍団は敗北するを参照してほしい。

オランダ・サポーター諸氏には誠に申し訳がないが、筆者としては、オランダが優勝しなくて本当に良かった、と思っている。決勝戦でオランダは10枚のイエローカードをもらい、うち、ヘイティンガが2枚のイエローカードで退場処分になっている。イエローが出なかったものの、極めて悪質なファウルが目立った。オランダは打撃系の格闘技(K1等)が盛んな国だけれど、前蹴り、ローキックのような「足技」でスペイン選手を痛めつけた。主審のウエブ氏(イングランド)は、悪質なファウルでも一回目は「注意=口頭の警告」でカードを出さない人。そのことを知ってかしらずか、序盤、スペイン選手を削りにいったプレーが散見された。

オランダの攻撃は工夫がない。FWロッベン、MFスナイデルの個人技に頼った突破だけで、この試合に限れば、得意のサイド攻撃すらみられなかった。技術の高いスペインからはファウルももらえず、高さを生かしたセットプレーも実現できなかった。ただ、後半7分、右サイドでボールを受けたロッベンが、カットインから得意の左足でシュート(最もロッベンの得意な形)、これはGKカシージャスのナイスセーブで阻まれたが、得点になってもおかしくないシーンだった。この一発でオランダが優勝したかもしれないくらいの決定的場面だった。ロッベンの一撃でオランダに優勝が転がり込むようであれば、W杯南アフリカ大会決勝戦は「超凡戦」の酷評を受けたことであろう。

そもそも、オランダの攻撃は、組織的もしくは連係による崩しのスタイルをもっていない。FWファンペルシー、FWロッベン、MFスナイデルらの抜群のタレントの個人技に頼ったもの。それ以外の得点機会は、ミドルシュート、セットプレーから高さを生かしたものだけ。本大会ではファンペルシーの調子が上がらず、ロッベンばかりが目に付いた。

筆者はオランダのサッカーが決勝を戦うに相応しいものだとは思わない。オランダはせいぜい「ベスト8」どまりのチーム。敢えて蒸し返せば、本大会では準々決勝のブラジル戦で敗退していたはずだ。

選手の行動範囲はほぼ、ポジション別に限定されているため、攻撃は前線の3人のタレント頼り、中盤以下は守りに専念する。運動量も多くない。中盤、終盤の選手がゴールに襲いかかるように上がる迫力=スペクタクル性もない。要するに、本大会出場のオランダチームのサッカーはおもしろくなかったのである。もちろん、これは筆者個人の趣味に属することであって、勝利に専念するオランダチームを批判するものではない。


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