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2010年07月08日(木) ツイてるオランダ――誤審で決勝進出

オランダは本当にツイている。準決勝のウルグアイ戦、1−1に並ばれたオランダが勝ち越しの2点目を上げたシーンは、オフサイドに間違いない。この試合の主審はイルマトフ氏が務めた。筆者が前回の当該コラムにて誉めた主審だ。線審が旗を上げなかったので、主審としてもオフサイドは取りにくかったのかもしれない。

オランダは、準々決勝のブラジル戦では、西村主審の神経質な笛に救われた。あの試合、しばしば笛で止まる展開のため、相手ブラジルは完全にリズムを崩したし、準決勝のウルグアイ戦では、誤審で得点を入れ、ウルグアイを突き放した。1−1に並んだウルグアイのほうに勢いがあっただけに、ウルグアイには大きな痛手となった。

オランダは判定に恵まれ、勝ちを得ている。オランダの大柄の選手が接触プレーで転がると、主審もついつい、相手にファウルの判定をくだしてしまう。ブラジル戦では、相手ファウル?で得たセットプレーを得点につなげた。オランダには、とにかく、ツキがある。そういう意味では、優勝する可能性も高い。

筆者は本大会のオランダチームに魅力を感じていない。まず、スピードが感じられない。第二に、攻撃は単調。左右に大きく張り出したサイドからのワンパターン。第三に、得点はセットプレーからか、ミドルシュートによるものが目立つ。いずれも、個人の能力頼みであって、組織的な崩しからではない。ロングシュート、ミドルシュートの威力は、公式(魔)球「ジャブラニ」をうまく使いこなした結果なのかもしれないが、それが枠に行くのもツキの1つ。第四に、昔ながらの固定ポジションだ。オランダの中盤から後ろは、概ね守備に専念していて、前線を追い越すような長いランはない。グループリーグでは、デンマーク(0−2)、日本(0−1)ともに、オランダの守備陣を崩せず、得点を奪えなかった。最終戦の相手カメルーンは、エトーが唯一の得点をオランダから奪ったものの、1−2で試合を落としている。

決勝トーナメントに入ると、オランダは苦しみながらも、スロバキア(2−1)、ブラジル(2−1)、ウルグアイ(3−2)に競り勝ち、破竹の6連勝だ。いずれの試合もどんよりとした、ストレスのたまる展開で、走らないオランダのペースで時間が過ぎ、後半に入ると、なんとなくオランダが得点をあげて、勝っている。オランダは、なんとも不思議なチーム。こんなサッカーで優勝か?


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