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2010年06月15日(火) 「勝ち」は「勝ち」

◎予言どおり、日本が勝った

6月4日付け当コラム(「調整遅れのカメルーン――日本にチャンスあり」)にて、日本がカメルーンに勝つ可能性が高いことは、予言しておいた。結果はそのとおりになったわけで、だから、筆者は日本の勝利にあまり、驚いていない。サッカーでは、どんなに「個」が強かろうと、高い「身体能力」をもっていようと、それだけで試合に勝つことは難しい。組織、連係、戦略、戦術、コミュニケーション等の熟成がなければ、勝利を得ることは難しい。

◎カメルーンに何があったのか

カメルーン代表に何があったのかはわからない。ボーナス闘争の調整が不調に終わった、ルグェン監督の選手起用に納得しない選手が多かった??? 試合を見た人ならば、カメルーン代表チームの状態が尋常でないことを感じただろう。この件については諸説あるものの、真相は伝わらない。とにかく、W杯グループリーグの日本戦、カメニ(GK)、エンゲモ(MF)、A・ソング(MF)は出なかった。一般には、起用されなかった選手は調子が悪いから、ですむのだが、カメルーンの場合はそう断言できない。

◎何があろうと「勝ち」は「勝ち」

何はともあれ、「勝ち」は「勝ち」。相手のチームの調整が悪かろうが、選手と監督が不和だろうが、試合に勝てばいい。W杯の公式記録には、日本が強豪・カメルーンに1−0で勝ったこと、そして、南アフリカでジャイアントキリング(番狂わせ)を起こしたことが残る。

日本側から見れば、海外W杯初勝利(勝ち点3)、日本人代表監督の初勝利という輝かしい記録が残る。岡田ジャパン(岡田代表監督と日本代表選手)に“幸あれ”。

◎カメルーンの敗因

立ち上がりは不気味なほど、静かだった。カメルーン選手は、全員が慎重かつ用心深い様子で、試合を恐れているかのようだった。そして、実際、彼らはW杯を恐れていた。

右サイドに入ったエトーが勝利のために貢献した働きをしたのか。否。少なくとも筆者には彼がハードワークしたようには見えなかった。彼の動きは“限定的”だった。当該コラムで何度も書いたとおり、筆者は、W杯におけるブラック・アフリカ勢の力量を過小にしか評価してこなかった。その代表がカメルーンで、日本戦がそのことを証明した。カメルーンは、チームとしてはまったく、熟成されていないまま。終盤のパワープレーに迫力は感じたけれど、あれが“カメルーンのサッカー”ならば、この国のサッカーは終わっている。

カメルーンの敗因は明白である。カメルーンが戦うための組織構築に失敗しているとしても、中盤のキープレーヤーであるA・ソング(アーセナル)が出ていれば、試合展開はかなり異なったものとなっただろう。A・ソングがいれば、エトーは自由にポジションを変え、ゴールに向かう回数を増やしただろう。エトーは「使われる」選手であって、「使う」タイプではない。彼は、ゲームを制御する資質を持っていない。

◎日本はまだ、何事もなし得ていない

日本のスポーツマスコミは、日本がグループリーグ初戦に勝利しただけで大騒ぎだが、これで終わったわけではない。日本がオランダ、デンマークに負ければ、勝ち点3で敗退する。

筆者の予想では、オランダは日本、カメルーンに勝って勝ち点9で1位通過する。デンマークはカメルーン、日本に勝って、勝ち点を6に伸ばして2位通過する。つまり、日本はグループリーグ3位で終わる。いまのところ、オランダ、デンマークからは、カメルーンほどの“否定的情報”が流れてこないから、そう思う。もちろん、そうなる可能性が高いという意味だが。


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