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2010年03月21日(日) Jリーグ、危機一髪

2010W杯開催年シーズンのJリーグが第3節まで進んでいる。今シーズンは、恒例としていた順位予想を取りやめた。理由は、開幕前、ケガ人、故障者が多すぎて、チーム戦力の把握が困難であったからだ。偶然だが、シーズン開催とほぼ同時的に開始されたACL予選リーグ参加チームの主力に故障者が続出した。筆者が頭の中で描いた順位表を発表したとしても、序盤の展開で齟齬が生じていただろう。

予想困難とした諸々の要素を踏まえたうえでの話しだが、Jリーグの地盤低下は深刻だ。たとえば、海外(欧州)からJ1に戻った3選手が即レギュラーだ。スペインリーグで通用しなかった中村俊は、古巣横浜を再生させ、チームは2連勝。相手の湘南・川崎はやられ放題、横浜はやり放題だった。中村俊の加入により、チーム全体に活力が生まれ、やることなすこと、すべてうまくいった。中村をつぶせないJリーガーには意地がないのか。情けない。

フランスから復帰した稲本も、川崎でボランチのレギュラーの座を確保している。川崎はACLでは連敗したが、Jでは2勝1敗。稲本の復帰はまずまず成功と判断できる。ドイツから復帰した小野も、清水でレギュラー。日本サッカーを「楽しんでいる」。

ことほどさように、欧州(スペイン、フランス、ドイツ)のリーグで試合に出られなかった3選手が、日本では不動のレギュラー。この現象をもってすれば、Jリーグのレベルの程度がわかるというもの。

そればかりではない。Jリーグ勢は、ACL予選リーグでも苦戦している。苦戦の原因は、Jの選手のフィジカルの弱さにある。アジアのトップチームと比べて、競り合い時の闘争力、ショルダーチャージ、タックル、走力において、Jリーガーは劣っている。さらに、今年からJリーグの審判団が守備側の手を使った反則=ホールディング、プッシュイングを厳しくとるようになったため、競り合いですぐ笛となり、フリーキックとなる。Jリーグの守備力のレベルの低さが傍証されてしまった。新外国人選手にも、衝撃的な選手がいない。生存競争が厳しくないうえ、勝負に淡白で、競り合いで温い、「お嬢様サッカー」を展開しているのが、Jリーグのここまでの実態だ。

筆者が昨年予想したG大阪の凋落が、1年遅れて到来したようだ。関西のビッグクラブ・G大阪が地盤沈下を開始し、首都東京唯一のFC東京も優勝戦線には絡めなさそう。「世界的」とまで賞賛された浦和は、チームづくりに失敗している。鹿島だけが、まともなクラブ経営を基盤として、リーグ制覇を目指す状況では、リーグが盛り上がるはずもない。

Jリーグがレベル低下を続ける理由は、当該コラムで何度も力説するように、トップリーグのチーム数が多すぎることにある。しかも各クラブがリストラ志向を強め、力のある海外選手を呼べなくなったため、ますます質が低下している。昨年J2から昇格した湘南が第3節ですでに、脱落しそうな兆候を見せているのが、そのことの実証だろう。昨シーズンから、自動昇格(降格)制度を採用したため、実力で上位にある柏が降格し、湘南が昇格してしまったわけだ。

筆者が何度も提案するように、J1、J2と下部組織を再編し、トップリーグのチーム数を少なくすることだ。ついでに、現行の地域拠点を見直し、集客力のある大都市に強力なチームをおくことも必要。とりわけ首都東京の東西にそれぞれ1チームを誘致しなおす(ヴェルディは整理)ことだ。FC東京を西東京とするならば、東東京にもう1チームを置くこと。大都市内の複数のチームが切磋琢磨することにより、動員数のみならず、サッカーの媒体露出量もこれまで以上に上がることが期待できる。

さらに、バルセロナとマドリード、ロンドンとリバプール、ローマとミラノ、北京と上海・・・と、国家の中にライバルといわれる大都市の組み合わせが必ずあり、東京と大阪もそのようなイメージをもっている。首都東京が「サッカー不毛の地」であり続ける限り、Jリーグがいま以上に活況を呈することはない。


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