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2010年02月23日(火) カメルーン戦に集中せよ

2010年、W杯開幕年のスタートでつまずいた岡田ジャパン。これまで支持があつかった代表サポーターからも大ブーイング、スタジアムには、「岡田解任」の横断幕まで出る始末。協会は、とりあえず、岡田留任を公にし、事態収拾を図ろうとしている。

このまま岡田ジャパンに策もなく、南アフリカに行って予選リーグで3連敗して帰ってくるのを見るのも忍びない。自国開催以外のW杯(フランス、ドイツ、南アフリカ)で3回にわたってグループリーグ勝ちなしとなれば、日本代表が勝てる相手はアジアのみ、という筆者の持論が悲しくも実証されてしまう。

まあ、このことは紛れもない常識なのだけれど、サッカーはジャイアント・キリングが起きやすいスポーツの1つ。日本のサッカー人気が代表の凋落とともに下火になれば、立て直すことは容易でない。W杯日韓大会にて築いた財産を失うことの大きさを後で嘆くのも芸がない。ならば、筆者なりにW杯対策を考えたい――、なんとか日本代表にベスト16入りを果たしてもらい、たとえそれができなくとも、自国開催以外の大会で勝ち点3という、大きなお土産を持ち帰ってもらいたい――ものである。

ジャイアント・キリングの第一候補は、カメルーンであろうと筆者は考えている。これから先の日本代表のテストマッチは、極論すれば、カメルーン戦に勝利するためのものと、テーマを絞り込んで臨むしかない。日本がW杯予選リーグを突破するためには、初戦勝利以外に道はないのである。カメルーンに負けて、オランダ、デンマークに勝つという想定はしないほうがいい。岡田監督にこれから先、この決断ができるきかどうか。日本は、オランダ、デンマークのことは考えなくともよいと。

参考になるかどうかは別として、カメルーンが出場した、アフリカ・ネーションズカップの準々決勝で、カメルーンは、アフリカの古豪エジプトに延長戦の末、1−3で敗退した。この試合に限れば、カメルーンの調子は悪かった。3失点はすべてDFラインのミスから。1失点目はGKのキャッチミスだし、延長戦早々の2失点目はDFのバック・パスをエジプト選手に奪われたもの。3失点目は誤審で失点ではないが、GKの判断ミスで決定的シュートを打たれた。とにかく、失点の主因はDFとGKの連携、コミュニケーションの問題にある。この時期――欧州リーグに散っているカメルーン主力選手は、代表チームとして結束していない。このまま、カメルーンがチームとして機能しなければ、日本代表にも勝機は必ずやある。カメルーンが周到な準備をしてくれば、日本の勝利はかなり難しいけれど。

この試合に限れば、カメルーンで抜群の破壊力を誇る主砲エトーの調子が悪かった。彼がエジプト戦で放ったシュートはおそらく2本ではなかったか。エトーがこのまま眠ったままならば、カメルーンの得点力は低減する。エトーを抑えられれば、日本に勝機がある。彼を抑えられるのは、稲本だろう。カメルーンがエジプト戦であげた唯一の得点はセットプレーから。しかも、相手オーンゴールだった。

カメルーンの強みは、言い古された表現だけれど、高い身体能力にある。なかで脅威なのがロングシュート。30メートルという距離は、彼らにしてみれば、ミドルシュートの感覚であり、実際、そのとおりのように見えた。日本DFがゴールを空ければ、30メートル前後からミサイル弾が飛んでくる。これを食らえば、日本はひとたまりもない。日本DFはとにかく身体をはる以外ないし、相手のシュート・レンジを遠めに設定しておく必要がある。しかし、シュートを怖がって引きすぎれば、相手の思う壺である。

では、どうするのか。守備は密着マークである。カメルーンの身体能力は高いが、重心が高い。だから接近戦の競り合いならば、重心の低い日本選手でも競り負けるとは限らない。ショルダータックルで相手を転がすこともできるはず。さらに、カメルーン選手の弱点としては、意外と当たりを嫌がる傾向があることを挙げておきたい。エジプトはとにかく。ゴリゴリとカメルーン選手を押し捲った。エジプト選手は身長ではカメルーンに劣るけれどフィジカルは強いし、スピードもある。さらに、カメルーン選手はすぐ熱くなるので、ゴリゴリのファイトで相手を興奮させ、カードを出させる手もある。これまで日本代表がやってきた、淡白なクリーン・ファイトで倒せる相手ではないから、喧嘩ファイトでカメルーンをつぶしに行く覚悟が必要だ。

注意しなければならないのは、長いリーチ。相手の長いリーチを念頭に置かないと、日本代表は思わぬミスをするだろう。普通ならば届かない感覚のタックルが届いてしまう可能性がある。自陣の狭いエリアでパスをまわすのはリスクが高い。しかし、怖がってロングボールで逃げていたら押し込まれる。しっかりと、ボールキープすることが大事なのは当たり前で、深いタックルをケアしつつ、マイボールを攻撃に結びつけることも重要だ。

カメルーンが守備の修正をしないままW杯に出場してくるとは思わないが、エジプト戦に出場したGKのレベルは高くないし、最終ラインとの連携もうまくいっていない。だから、GKと最終ラインの間で勝負できれば、日本にも勝機が開ける。早くて低いクロスや、最終ラインの裏を取るアウトに出たスルー・パスに、ダイヤゴナルで走って折り返しを出すFWの動きなどもシュートチャンスをうむだろう。

筆者はカメルーン戦で戦力となるのは佐藤(広島)のようなタイプのFWだと思っている。早い飛び出しで一気にシュート、あるいは、ペナルティーエリア付近でのワンツーでカメルーンDFを外してのシュート・・・が決められれば、日本が勝つ可能性もあると思っている。そう、うまくいくかな?


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