2009年11月22日(日) |
闘莉王、高原のいない浦和 |
11月21日、サッカー日本代表DFでJ1浦和に所属する田中マルクス闘莉王(28)が契約満了に伴い、今季限りでクラブを退団するとの報道があった。また、その前日、高原直泰(30)も浦和を離れるとの報道があった。いずれも、正式発表ではないものの、2010年シーズン、両者が浦和ではないクラブでプレーすることはほぼ間違いない。
闘莉王について筆者は、いまからおよそ1年前(2008年12月02日付け)の当コラムにおいて、「浦和よ、闘莉王を放出せよ」を書いたことがある。そのコラムの前後においても、「闘莉王批判」を繰り返していた。筆者は、闘莉王が日本のサッカー選手の中で、最高のパワーをもった選手の一人だと確信しているし、運動能力においても同様に感じている。しかし、彼のサッカーセンス、チーム貢献に係る姿勢、チームメートへの影響等を総合的に考えるならば、彼の存在は、Jリーグのクラブに馴染みにくい。報道では、欧州や中東のクラブが獲得に興味を示しており、海外を軸にして移籍先を探すことになりそうだ、とあるから、W杯イヤーの来年、闘莉王のプレーは日本では見られなくなりそうだ。
浦和が規律重視のサッカーを志向する以上、浦和は闘莉王を必要としない。「ケガ」「故障」を理由にチーム練習に参加しないこと、首脳陣批判を繰り返すこと、チーム戦術を無視すること、自制を欠き、不必要なイエローカードをもらうこと・・・彼のマイナスは、彼のサッカー運動能力というプラスを上回っている。彼が浦和という、JリーグのビッグクラブのCBという重責を全うするには無理がある。
さて、高原の「不調」に関しては、筆者の推測にすぎないが、体力的な問題だと思っている。2008年シーズン、約6年ぶりにJリーグに復帰した彼は、合計8得点しかあげられなかった。とりわけ、彼がゴール前でJ1のDF陣に競り負ける姿は驚きだった。パワーで日本人選手を上回るドイツでもまれてきたはずの彼が、日本のDFに翻弄される姿を見るのは意外だった。
だが、2008年シーズンの彼の不振は、ドイツから日本復帰に伴うコンディション不良に起因すると思っていたし、このシーズンの浦和は、チーム全体が混迷状態(ポンセ、鈴木がケガ、長谷部、小野がチームを去り、中盤が脆弱)だったから、高原が活躍できなかったとも思えた。だから、2009年シーズン、高原は必ずや復活するものと筆者は信じていたのである。ところが、彼の「弱さ」は今年も是正されなかった。彼のすぐ倒される「弱さ」は、FWとして致命的であるし、そのことは体力的限界からくるものとしか説明しようがない。
2009年シーズン、予想される浦和のフォーメーションは、GK=都築龍太、DF=CB・坪井慶介・■■■■(外国人か?)、左SB=細貝萌、右SB=平川忠亮、MF=阿部勇樹、鈴木啓太、原口元気、山田直輝、ポンセ、FW=エジミウソンの4−4−1−1、もしくは、4−2−3−1か。
ざっとみたところ、第一に、闘莉王の穴を埋める人材は持ち駒の中にはいない。力のある外国人CBの補強を必要とする。第二に、左SBの細貝は本職とはいえないので、右SBにベテランの山田暢久が入って、平川を左SBにまわるか。いずれにしても、細貝は鈴木、阿部とポジション争いをするのが筋。左右のSBは浦和の強化ポイントであることは確か。第三に、司令塔ポンテが限界に近づいているので、梅崎司の台頭が望まれる。そうならない場合、浦和はガタガタのままシーズンを終わる。ポンセに匹敵する司令塔も補強の対象となろう。第四に、FWのスーパーサブには田中達也、もしくは、エスクデロセルヒオが控えるが、ワントップのエジミウソンに匹敵するくらいのFWが必要。相手次第では、2トップもあるからだ。若手FWの台頭があるまで、外国人の補強という手もある。
総合的に見て、CB、左SB、司令塔、FWの4つのポジションに“もう一人”が必要。今後、浦和がどれだけの補強をするか、目が離せない。
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