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2009年11月11日(水) 続・落日の千葉−厳しさが足りない

落日の千葉(その2)

千葉の降格が決定した川崎戦を録画でチックした。千葉の多くの選手は精一杯、戦ったと思う。先制点には巻が絡んだし(得点者は工藤)、後半、1点リードされながら和田拓三が土壇場(88分)で同点に追いついた。結局、直後にレナチーニョに決勝点を奪われ、降格試合を落としたけれど、最後まであきらめない姿勢を見せた選手が多かった。

■無用なファウル(PK)

しかし、緊張して戦った選手が大半だったにもかかわらず、そうでない選手もいた。1点リードした後半10分、川崎の中村憲(MF)がペナルティーエリア内にボールを運んだとき、その足を払ったのがボスナーだった。身体をはって競るでもなく、やや後方からの無用なファウルにしか見えなかった。レナチーニョにPKを決められ、川崎は労せずして同点に追いついた。川崎は安堵し、以降、余裕を持って試合を進められた。ナビスコ決勝でF東京が先制して川崎の焦りを誘った展開が、期待できなくなった。このファウル=PKにより、千葉の勝利はなくなったと筆者には思えた。

■無用なイエローカード

後半15分、中後雅喜(MF)と交代で入ってきたネットバイアーノ(FW)は宝飾品を身につけていたため、ピッチに入った途端、イエローカードをもらってしまった。信じられないイエローである。ルールを知らないプロ選手がいるとは情けないし、スタッフの注意力にも問題がある。江尻体制自体、気が抜けているのである。

この試合に限れば、千葉が勝っても負けても、降格自体を止めることはできない、だから、必死で戦う必要はないという「合理的」な考え方もあるだろう。しかし、降格が決まるまで、いや、降格が決まっても、目の前の試合に全力を注ぐのがプロ選手の義務である。この当たり前の義務を千葉の全選手が認識していたとは思えない。一事が万事とはいわないけれど、千葉のすべての選手が厳しいプロ意識をもっていたのならば、降格は免れたかもしれない。

ボスナー、ネットバイヤーノ、ミシュウ、アレックス――千葉の4人の登録外国人選手すべてが、気が抜けているとは言わない。しかしながら、彼らは実力においても気力においても、J1で活躍できる“助っ人”ではなかった。DFの要として活躍したブルガリア代表のストヤノフとボスナーを比較するまでもない。ものが違いすぎる。

■サッカーは甘くない

降格した千葉だが、主力選手が抜け、現状の外国人選手がチームにとどまり、監督が代わらないのであれば、来シーズンの昇格は難しい。ペナルティーエリア内で我慢できないDF、ルールを知らない外国人選手、基本的チェックを怠り、ルール破りの交代選手を平気でピッチに送り込んでしまうスタッフ及び監督――降格が決まった試合、千葉が抱える基本的問題点が象徴的に表面化した。

一部の選手が真剣に気力を振り絞って戦っていることは認めるけれども、それだけでは、真面目なだけでは、強くなれない。千葉サポーターが身上とする「やさしさ」だけでは、チーム、選手、指導者を鍛えることができない。千葉を包み込む“善意”が、チームを弱くしている。千葉というクラブが拠って立つ“風土”がだめなのである。


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