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2009年10月26日(月) 城島もソフトバンクも勘違いをしている

報道によると、ソフトバンク王貞治球団会長(69)が25日、マリナーズを退団した城島健司捕手(33)に「フルマスク手形」を約束した、とある。

まさか、そんなことはあるまい、選手が試合出場を希望するのは当たり前だけれど、フロントや監督がそれを「約束」することなどあり得ない。

まずもって、プロ野球は、原則的に、選手が自由で公正な競争を行うことを「約束」する職場である。現役のメジャーリーガーだろうが、練習生だろうがテスト入団であろうが、前は関係がない。活躍できる選手を起用するのが、監督の努めである。

そうはいっても、常識的にいえば、実績のある選手を監督は起用するはずだから、前大リーガーの城島が入団した球団では、彼が先発出場の第一候補者であるとはいえる。だがしかし、シーズン前のキャンプで彼より実力が上回る捕手が台頭していれば、彼が控えになることもあり得る。また、シーズン開始後、彼の調子が悪く、活躍できないのならば、彼はレギュラーの座を失うのである。

マリナーズ退団後の会見で、城島は入団交渉の決め手に「今、飢えている自分を一番暴れさせてもらえる球団」と断言し、「プレーイングタイムを最大の条件というか、それをもとに交渉していくつもり」とも言った、という。

城島が試合に出たいという理由をもって、MLB(のシアトルマリナーズ)からNPB(日本プロ野球機構のどこかの球団)に転身を図ることを否定しない。しかし、城島の論理は、“MLBは自分を使ってくれなかった、来シーズン、NPBに戻ってあげるから、日本の球団は俺を全試合に出場させろよ”と言っているようなものだ。こんな勝手な論理があるだろうか。昨シーズンMLB(シアトルマリナーズ)が城島を常時試合に起用しなかったのは、彼の実力が伴わなかったからであって、ほかに理由はないのである。MLBで城島に起こったことが、NPBで起こらない保証はないのである。

前大リーガー「城島」が客を呼べるのは、開幕後の数試合である。彼が活躍すれば、ファンを球場に呼び続けるであろうし、彼が活躍しなければ、忘れ去られるのである。それが、プロ野球という競争社会の定めである。

“日本球界に復帰するから、球団もファンもよろしくね”、というスポーツ選手として当たり前のメッセージを、なぜ、城島は出せなかったのであろうか。レギュラーの座は交渉ではなくって、実力で奪うものではないのか。彼が、自らの衰えを自覚していることの兆候でないことを祈っている。


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