(その1)ガーナ戦−不可解なスケジュール− 9月9日、日本代表がオランダ・ユトレヒトで、ガーナ代表に4−3で勝った。その前の試合(9月5日/エンスヘーデ)、オランダ代表に0−3で惨敗しただけに、アフリカの強豪相手の「逆転勝ち」を賞賛するスポーツマスコミもあった。しかし、この勝利で日本の攻撃力が再生したと思う人はまずいないだろう。相手GKからのロングボール一発を競り負けたDF中澤は、アジアレベルではトップクラスの選手だが、世界レベルでは通じない。前半の失点が日本の守備の課題を明確にした、という指摘のほうが適正な評価だと思う。
対戦相手のガーナだが、6日にW杯アフリカ予選があり、ホーム(首都アクラ)でスーダンに勝ち南アフリカ行きを決めたばかり。試合後、アクラからユトレヒトに移動し、9日の昼12時に日本と親善試合をした。
ガーナのコンディションがいいはずがない。たとえば、今年の6月6日、日本代表がウズベキスタンで南アフリカ行きを決めた後、10日に行われた予選リーグの消化試合のカタール戦、1−1で引分けた。日本代表の引分をだれが責められよう。同じように、このたびのガーナの「逆転負け」をだれが責められよう。
ガーナ代表は主力選手のほとんどが欧州各国リーグに所属している。欧州各国に戻るついでに、ハブ空港のあるユトレヒトで(日本と)試合をした、というのが本音なのではないか。帰国する飛行機代がういた計算か(笑)
そんな条件下、ガーナ代表は手を抜かなかった。前半は日本を寄せ付けなかった。しかし、後半、さすがに足が止まり、しかも、交代出場選手のコンビネーションも悪く、立て続けに失点をした。
日本がガーナのパワーを90分体感したいと思うならば、日本代表がエンスヘーデからアクラに飛び、ガーナのホームで試合をすればよかった。岡田監督は、オランダ遠征で、5日(エンスヘーデ)→9日(ユトレヒト)という、W杯グループリーグのシミュレーションをしたかったのだと思われるが、この時期、岡田監督の試行は、あまり意味がない。日本代表の脆弱な体質にショックを与えるという意図の下、アフリカ・ガーナに乗り込むくらいの気概があってもよかった。
もう一つ、日本代表が試行しなければならないのが、「ターンオーバー」である。この制度は、W杯グループリーグにおいて、故障や疲労蓄積した複数の選手をそっくり交代させるもの。日本の場合、グループリーグ突破が困難な状態にあるため、主力レギュラーで目いっぱい3試合を行わなければならないのだが、いまの時期であれば、たとえば、DF陣の総入れ替えがあってもよい。岡田監督の狙いは、予選を戦ったメンバーを中心にレギュラーを固定し、コンビネーションを熟成させ、組織力をアップしようとしているようだが、代表はクラブチームとはわけが違う。いまの「岡田ジャパン」を見ていると、固定メンバーでドイツに行って予選敗退した、「ジーコジャパン」が思い出される。
(その2)不可解な無効試合裁定 Jリーグ第25節、首位2位の直接対決、鹿島−川崎は雨天のため後半29分、川崎が3−1でリードの時点で中止となった。中止を判断したのは審判団であり、決定はマッチコミッショナーである。無論、筆者はカシマスタジアムにいたわけではないから、この決定が妥当かどうかはわからない。だから、以下の記述は、TV映像を基にしたものである。
注目すべきは、この試合の主審が岡田正義であったことだ。岡田正義については、当コラムで何度も取り上げたことがある。ジャッジに問題が多い。とりわけ、自己顕示欲が強すぎることが欠点である。カードの出し方が権威主義的で、代表クラスには甘く、知名度の低い選手に厳しい。ビッグクラブに甘く、そうでないクラブに厳しい。
寒さが厳しい欧州の場合、グラウンド(床)暖房のないサッカー場では雪が降り出して積もることがある。ボールは転がらないし、見にくいので、黄色のボールを使用することもある。雨天のゲームももちろん、水溜りでボールが転がらない。それでもよほどのことがない限り、サッカーの試合は行われるのである。まして、1−3で残り15分ならば、中止にする理由はよほどのことである。たとえば、観客が暴動を起こした場合、場内にモノが投げられ選手に危険が及んだ場合・・・などが考えられる。
TV映像で見る限り、この試合は中止に該当しないように見えた。岡田主審の試合中止の判断は、誤りであると筆者には思えた。
鹿島からアウエーで勝ち点3を奪ったはずの川崎、とりわけ、2得点を上げたチョンテセの無念はいかばかりであろう。Jリーグは、このような誤った判断をくだした岡田正義に、引退を勧告すべきであろう。
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