2009年06月13日(土) |
南アフリカへの道(その1) |
W杯アジア地区予選における日本の最終試合、対オーストラリア戦の日本代表メンバーが判明した。レギュラー組からは、中村俊輔(セルティック)、長谷部誠、大久保嘉人(共にボルフスブルク)、遠藤保仁(ガンバ大阪)の4選手と、また、控え組からは、山田直輝(浦和レッズ)、香川真司(セレッソ大阪)本田圭佑(VVV)の3選手の合計7選手が離脱した。遠征メンバー19名は以下のとおりである。
GK:楢崎正剛(名古屋グランパス)、都築龍太(浦和レッズ)、川島永嗣(川崎フロンターレ) DF:中澤佑二(横浜F・マリノス)、山口智(ガンバ大阪)、田中マルクス闘莉王(浦和レッズ)、駒野友一(ジュビロ磐田)、今野泰幸(FC東京)、長友佑都(FC東京)槙野智章(サンフレッチェ広島)、内田篤人(鹿島アントラーズ) MF;橋本英郎(ガンバ大阪)、中村憲剛(川崎フロンターレ)、松井大輔(サンテティエンヌ・フランス)、阿部勇樹(浦和レッズ) FW:玉田圭司(名古屋グランパス)、矢野貴章(アルビレックス新潟)、岡崎慎司(清水エスパルス)、興梠慎三(鹿島アントラーズ)
日本はすでにW杯出場を決めている。W杯出場の選手枠は23名。現段階で南アフリカに行ける可能性が高い選手は、離脱者を含めた前掲の26選手ということになろう。もちろん、いまから1年後の話、何があるか分からない。代表選手の入れ替えは何度かあることは言うまでもないが、オーストラリア遠征選手19選手に離脱選手7選手を加えた合計26選手が、2009年6月現在において、南アフリカにもっとも接近した代表選手であることは間違いない。
W杯の代表選手枠23名の選考方法については、各国のそれぞれの事情次第である。短期戦、限られた選手枠という条件から、複数のポジションをこなせる選手が選ばれやすい傾向はある。とはいえ、最もオーソドックスなのは、23名のうちGK3名を除く20名、すなわち、フィールド・ポジション10箇所に2人を割り当てる方法である。
日本の場合、そのシステムは概ね4−4−2であるから、DF=8(CB=4、SB=4)、MF=8(ボランチ=4.攻撃的MF=4)、FW=4の合計20選手となり、ウズベキスタン、オーストラリアの最終選考が27名のうち、GK3名を除くと24枠が残り、必然的に4選手が脱落する。
ポジション別にみていくと、FW=4は、玉田圭司(名古屋グランパス)、矢野貴章(アルビレックス新潟)、岡崎慎司(清水エスパルス)、興梠慎三(鹿島アントラーズ)、大久保嘉人(ボルフスブルク)の5名から1名が脱落する。年齢、実績から考えて、興梠慎三が外れる可能性が高い。
MFは、中村俊輔(セルティック)、長谷部誠、(ボルフスブルク)、遠藤保仁(ガンバ大阪)、山田直輝(浦和レッズ)、香川真司(セレッソ大阪)、本田圭佑(VVV)、橋本英郎(ガンバ大阪)、中村憲剛(川崎フロンターレ)、松井大輔(サンテティエンヌ・フランス)、阿部勇樹(浦和レッズ)。
うち、ボランチ枠4には、長谷部誠、(ボルフスブルク)、遠藤保仁(ガンバ大阪)、橋本英郎(ガンバ大阪)、阿部勇樹(浦和レッズ)が―― 攻撃的MF4枠には、中村俊輔(セルティック)、本田圭佑(VVV)、中村憲剛(川崎フロンターレ)、松井大輔(サンテティエンヌ・フランス)が―― 残る可能性が高い。若手の山田直輝(浦和レッズ)、香川真司(セレッソ大阪)が脱落するかもしれない。
ここまでのところ、異論は少ないと思う。問題はDFである。DFは、CB、SBともに余裕がなく、CBの4枠は、中澤佑二(横浜F・マリノス)、山口智(ガンバ大阪)、田中マルクス闘莉王(浦和レッズ)、槙野智章(サンフレッチェ広島)で脱落者はゼロ。
また、SBの4枠も、駒野友一(ジュビロ磐田)、今野泰幸(FC東京)、長友佑都(FC東京)、内田篤人(鹿島アントラーズ)、で自動的に決まってしまう。
なかでも、前回当コラムで書いたとおり、左SBは、Jリーグにおける専門職は長友ただ一人。駒野も左SBができないわけではないが、うまくない。かりに、左の長友が故障すると、右SB内田、左SB駒野または今野となる。どちらも世界レベルにはほど遠い。今野にはSBの資質はないと筆者は思っている。現実的な選択肢としては、ユーティリティーの阿部を左SBの控え、橋本を右SBの控えにすることも可能だが、橋本はともかく、阿部はSBの選手ではない。(※今シーズン、浦和でも左SBでの試合出場はないはず。)
岡田監督が若手の山田直輝(浦和レッズ)、香川真司(セレッソ大阪)を抜擢しているが、彼らの潜在能力の高さと可能性を否定しないが、代表の喫緊の課題からみれば、無駄である。満席状態の中盤に若手を押し込む意図が、筆者には理解できない。また、岡田がなぜSB、とりわけ、左SBを軽視するのか、その理由が思いつかない。このまま1年経過しても、日本代表は強くならない。
海外でプレーしている日本人選手の中にも、SBの選手はいない。モダン・サッカーにおけるSBの重要性はいまさら、繰り返すまでもないが、日本は伝統的に良い人材に恵まれてこなかった。たった一年で解決するような問題ではない。
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