フィンランド戦は、親善試合というよりも練習試合、もしくは調整試合にとどまった。背が高いフィンランド代表=オーストラリア戦のシミュレーションという位置づけだが、本当にそうなのか。この一戦がいまの日本代表にどれだけのプラスを与えたのか。フィンランドには真剣にファイトしてもらいたかった。
試合経過は省略する。プレスもかけない、マンマークもつけない、競り合いもない相手。もちろん、足元の技術もないし、組織性もない。フィンランド人選手で構成されているから「フィンランド代表」なのだろうけれど、慈善試合が似合う超ベテランのリトマネンがゲームキャプテンだ。その実力は…日本のJSLクラスくらいか。体格は確かに立派だが、J2のチームより弱いだろう。
日本が圧勝した。当然である。ゴールシーンが多くて、代表サポーター諸氏には「楽しい試合」だったのかもしれないが、日本の楽勝という結果よりも、セットプレーからゴールを割られた内容のほうを重視したい。アジア杯予選の2試合で露呈した、日本の弱点は修正されていない。
さて、本番の相手・オーストラリア代表選手が先に発表されている。一人を除いて、国外でプレーする選手ばかりの構成だ。南半球のオーストラリアだが、国外とは北半球=ヨーロッパ、つまり、シーズンたけなわのリーグに臨んでいる選手ばかりだ。フィジカル面では、オーストラリア代表のほうが、日本代表より優位にある。
日本の海外組は、俊輔、稲本、松井、長谷部、大久保の5人。以前に書いたとおり、DF陣は一人もいない。フィンランド戦では、内田(駒野)、長友(安田)の左右SBが好調に見えたが、相手が弱すぎるので、参考にならない。CBの中澤、闘莉王の調整も万全で、スタミナ、気力面で心配ないように見えたが、同様に参考にならない。
いまの日本の守備の弱点は、守備陣とGKの呼吸が合っていない点だ。ゴールに向かってくるボールに対してだれが処理をするのか、一瞬だが、ためらいがみえる。GKが仕切るエリアだけれど、川口、楢崎以外の代表GKが仕切れていない。経験不足だろう。
オーストラリアは、予選ここまで無失点。日本が属する予選グループの中で最も強い守備を誇っている。日本が先に失点をすれば、日本が勝つ確率は低い。フィンランド二軍代表相手の調整試合であるにもかかわらず、日本の守備陣は相手を完封できなかった。オーストラリア戦に不安が残る。この試合を観戦したピム・オーストラリア代表監督は、日本の弱点を「GK」と見極めて、前半から空中戦を仕掛けてくる可能性もある。
2006年W杯ドイツ大会、ジーコジャパンは、初戦のオーストラリア戦、ゴール前の混戦から失点した。2年半が経過したいま、あのような失点シーンの再現は見たくない。
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