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2006年06月03日(土) 過去(ドイツ戦)は忘れろ

日本がW杯主催国・ドイツに善戦したことを、各国メディアが華々しく報じたらしい。日本のメディアを通じてそれを知るしかないのだが、日本のサッカーが各国に評価されたのは喜ばしいことだ。
この親善試合で日本は多額の代償を支払った。加地が背後からの違法タックルで負傷、高原・柳沢が故障、俊輔は風邪が完治しないらしい。これらの報道の真贋は問えない。負傷と報じられながら、本番で活躍した選手はいくらでもいるからだ。日本だって、そのくらいの「情報」を流してもいい。でも、本当ならば、コンディションのピークをドイツ戦に合わせてしまった未熟さを指摘されても仕方がない。
もう一つの代償は、日本の手の内を見せたことだ。ドイツ戦を見た豪州、クロアチアは、日本にカウンター攻撃があることを認識した。となると、不用意に前に出ることはない。日本対策としては、ハイボールで攻めてくる確率が高くなる。日本DFが跳ね返したボールを相手中盤が拾い捲り、攻撃の手を休めなければ、日本はスタミナを奪われる。しかも、右サイドの加地(駒野)には強いマークがつくから、ドイツ戦よりも右サイドハーフの行動範囲は狭められるだろう。日本のカウンターの基点は俊輔、ヒデ、福西の中央だとわかったから、この3人にはマンマークがつく。つまり中盤は火の出るような主導権争いが展開されるだろう。
豪州戦、クロアチア戦は、大雑把に言えば、ドイツ戦のような攻め合いというよりも、守備的接戦となる可能性が高い。日本が相手のパワープレーでスタミナ切れしなければ、相手の一瞬のスキをついた攻撃が可能となろうが、相手よりも、日本の攻撃機会は減る。日本が苦手とする空中戦対策のカギを握るのは、ドイツ戦のとおりの先発ならば、ボランチのヒデ、福西のでき次第となろう。ヒデのボランチが守備的戦術にあわなければ、体力のある稲本の先発もある。
となると、豪州戦は体力・体格重視で、CB中澤、坪井、左SB中田浩、右SB加地(駒野)、中盤は稲本・福西・ヒデ・俊輔でボックスを形成して、FW柳沢・高原の4−4−2のシステムが有効だろう。これまで不動のレギュラーだった三都主は、俊輔のバックアップメンバーにまわる。
本番の豪州戦、クロアチア戦では、ドイツ戦を再現することなどもとより不可能。ドイツ戦を過去のこととして忘れ、頭を切り替えなければいけない。サッカーでは一つとして同じ試合はない。同じ手を使って、二度の成功は望めない。千葉のオシム監督なら、ドイツ戦は忘れろ、と選手に言うだろう。
ジーコが豪州からドイツと同じ手口で成功を得られると考えているとしたらそれは間違いだし、日本は予選リーグで敗退する。親善試合でなまじっかいい試合をしてしまったばかりに、本番への入り方が難しくなった。監督の真価(頭の中)が問われている。


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