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2005年12月23日(金) 悪夢が現実に・・・

J2に降格した東京Vが22日、現柏コーチのラモス瑠偉氏(48)の監督就任を発表した。ラモス氏の「右腕」として都並ヘッドコーチの就任をほぼ決定的とし、さらに菊池GKコーチらの信頼できるOB陣を招へいの方針だという。シドニーFCから横浜FCに“復帰”したカズもラモス氏の監督就任を歓迎したという。J2でカズとラモスの元ヴェルディ対決が実現することになる。
そのラモス氏は「相手とけんかしてでも勝つのがプロ」と言い、闘志を前面に出すことを選手に要求する。しかし、その“結果”はと言うと、ラモス氏がコーチに就任した柏で既に“凶”と出ている。柏は今季、降格圏で低迷した時期、ラモス氏をコーチに就任させたのだが、就任以降の試合で必ずと言っていいほど退場者を出し試合を失った。その象徴的な試合が甲府との入れ替え第2戦目だった。第1試合を1−2で失った柏ホームの第2戦、甲府に1点リードされたところで柏DFがイエロー2枚で退場。その後、甲府のFWバレーになんと、6点もとられて大敗しJ2に落ちた。柏の若い選手たちは、ラモス氏が求める“プロ意識”に刺激され、汚いタックルでカードをもらい退場してしまう。激しさと汚さの区別がつかないまま、危険なプレーを連発する。コーチなら、まず相手を止めるプレー教えるべきであり、相手の攻撃を封じるディフェンス戦略を立案すべきなのだ。
筆者なら、東京V再建プランの基本として、「過去との決別」を真っ先に挙げる。東京Vの黄金時代は日本サッカーの黎明期に当たり、各クラブの実力は低かった。そのことを象徴するのが、「ドーハの悲劇」だった。日本代表は、アジアで勝てなかったのだ。そんな時代にヴェルディは、カズ、ラモス、柱谷、北澤、加藤久らの日本代表選手を抱え、圧倒的な強さを誇った。つなぐサッカー、ボールをまわすサッカーで相手を翻弄し、やすやすとJリーグを制覇した。
しかし、Jリーグは変わった。クラブはワールドクラスの指導者を呼び、猛練習と強い規律で若い選手を鍛え上げてきた。その筆頭がオシム監督率いる千葉だ。さらに、大分、新潟、大宮、F東京が千葉が目指すモダンサッカーに近いチームづくりを進め、成功しつつある。その流れにある清水は、今季結果が出ていない。その一方で、G大阪、川崎は切り札というべき突出したブラジル人選手をチームにフィットさせ、攻撃的なサッカーをコンセプトにして好成績をあげている。
また、浦和、C大阪は固い守備で手堅く勝点を積み上げるサッカーで上位を維持できるまでに成長した。鹿島、横浜、磐田は厚い選手層を誇り、優勝しないほうがおかしいくらいだ。Jリーグの各クラブはスタイルは異なっているものの、かつてヴェルディにあしらわれていた姿をとどめない。ヴェルディの凋落は、ヴェルディのみがJリーグの進化に乗り遅れただけの話なのだ。
筆者は、現在東京Vで将来有望な相馬、両小林、平本に移籍を勧めたい。東京Vで1年プレーすることは、J2だからという理由ではなく、東京Vが目指すサッカーが古臭いゆえにマイナスだと考えるからだ。
東京Vの指導者の人選は時代から取り残されている。しかも、東京Vは、なんと元ブラジル代表の“悪童”ロマーリオの獲得に乗り出したというではないか。そんな噂を聞けば、東京Vは自ら進化の道を閉ざしたも同然。そんな滅茶苦茶なクラブで、若い才能が花開くことはない。いまのスピードのロマーリオと一緒にゲームをすることは、若い伸び盛りの選手のマイナスになる ことはあっても、プラスになることはない。


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