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2005年12月19日(月) Jに復帰か、「海外(遊学)組」

報道では、柳沢、中田(浩)、稲本、高原、大久保の「海外(遊学)組」、そして、ケガに泣く小野の6選手がJリーグに復帰する可能性が高いという。W杯開催が近づくにつれ、試合に出られない海外(遊学)組に焦りが生じ、それがJリーグ復帰につながっているという。ことの真偽は不明だが、かりにそうだとしたら、Jリーグとは何なのか。実力のある選手が戻ってくれば、レギュラーの座を明け渡さなければならないのがプロの世界。それは確かにそうなのだが、海外に渡った選手は、W杯を控えようが、最後まで自分の選んだ土俵で勝負をしてほしい。W杯に出たいがために、ただそれだけの理由で、Jリーグに復帰するのはいかがなものか。
日韓大会後、海外クラブから日本人選手にオファーがあった。それは大変結構なことだったのだが、海外クラブの狙いは「広告塔」だった。オファーを出した海外クラブが悪いのではない。海外クラブと契約した日本人選手が、実力でレギュラーの座を奪えなかっただけの話だ。ならば、もっと前に、サッカーができる環境に変われるよう、代理人や契約クラブと話し合いをするべきだった。
海外移籍が悪いとはいわない。海外、とりわけ、欧州のクラブに移籍できたのは、実力がある証拠だ。しかし、サッカー選手ならば、試合に出なければ始まらない。控えならば試合に出るチャンスもあろうが、ベンチ入りすらできないということは、“戦力外”に近い。そんな海外組が慌てて――試合を求めて――Jリーグに戻ってくると聞けば、いやな気分に襲われる。
そればかりではない。もっといやな気分にさせられるのは、海外クラブに所属するだけの選手が、代表に選ばれることだ。
来年、代表監督には、W杯出場選手を選ぶ仕事が待っている。だが、ジーコ監督が就任してから今日まで、彼がどのような基準で代表選考を行ってきたかについては、極めて理解しにくい。とりわけ、海外クラブに所属する選手の招集基準については、明快に定められているとは思えない。たとえば、Jリーグで1年をとおして試合に出場し、20点近くのゴールをあげたFWが代表にふさわしいのか、それとも、イタリアセリエAやスペインリーグで、限りなくゼロに近い試合数で、ゴールゼロのFWがふさわしいのか――という問題である。
筆者は前に書いたとおり、試合に出ていない選手は代表に選ばないという、欧州某国の代表監督の選考基準を支持している。日本代表の選考基準もそれに倣ってほしい。
その一方、各国リーグにはレベルの差があるのだから、試合に出ている出ていないは関係ない、「能力」こそがすべてだ、という意見もある。いろいろな選考基準があるとは思うのだけれど、筆者が代表監督に望みたいのは、選考基準が“ぶれない”ことだ。筆者は、選手の「能力」は試合で計られると考える。試合に出ていなければ、測定不能だと考える。「能力」というのは抽象的表現、いわば概念にすぎない。あえて「能力」優先というのならば、「能力」は表現(=パフォーマンス)によって、優劣をつけられるものだと考えたい。
海外に戦いの場を求めた選手は、そこで答えをだしてほしい。W杯に出場したいがために、Jリーグ復帰などと嘯くのは、武士の道に反するではないか。


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