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2005年12月12日(月) 驚きのアルアハリとアルイテハド

サッカーのクラブ世界一決定戦「FIFAクラブワールドチャンピオンシップ トヨタカップ ジャパン2005」が11日、東京・国立競技場で開幕した。開幕戦となった1回戦のアジア代表アルイテハド(サウジアラビア)vsアフリカ代表アルアハリ(エジプト)の試合は、1−0でアルイテハドが勝利した。
筆者は、本大会について、正直いってあまり期待していなかった。本大会の前身である南米と欧州のクラブチーム最強決定戦、「トヨタカップ」があまりおもしろくなかったからだ。本大会も「トヨタカップ」を拡大したものにすぎないのではないか、時差ぼけでコンディションの悪いクラブ同士が息を切らしてのレベルの低い戦いになるのではないか、と思っていたのだ。
ところが、初戦のアルアハリとアルイテハドの試合のすばらしさに筆者は、驚嘆した。両チームとも、一言で言うなら「大人のチーム」だった。結果はご覧のとおり、相手GKの一瞬の判断ミスをついたアルイテハドが勝ったけれど、実力伯仲の緊迫した試合だった。両チームともに、よくシェイプアップされていたこと――そのことが、見るに耐えた最大の原因だ。
勝ったアルイテハドはよく組織されているし、パワー、身体能力、スピード、スピリッツ――サッカーのチームとして具備すべきすべての要素において、Jリーグに所属する全クラブチームを上回っている。日本代表はW杯アジア予選で勝ち抜けたけれど、クラブレベルでみると、アジアと日本との実力差は相当あるように思える。
さて、代表チーム同士の試合が必ずしも最高レベルとは限らない。サッカー観戦のポイントをコンビネーションの良し悪し、組織力の高低に置くならば、代表チームよりクラブチームの試合を見るべきなのだ。FIFAはそのことを知っている。W杯がこの先、永遠にサッカー大会の最高の舞台であるはずがないことを。
すでに、欧州ではW杯、欧州選手権よりも、クラブチャンピオンを争う大会に人気が集まっている。欧州では、代表チームよりクラブチームの方が世界のハイレベルの選手が所属している。しかも、ハイレベルの選手が長いリーグ戦を戦うため、チームとして組織化されている。当然、チームの完成度が高い。クラブチームの試合の方が、代表の試合より、レベルは高い。FIFAはだから、クラブチームの世界大会を開催した。その戦略は正しい。世界のサッカーの趨勢は、代表よりクラブなのだ。
クラブ対抗大会の最大のネックは。「開催地」にある。クラブチームの試合においては、ホームとアウエーの関係が勝敗に強い影響を及ぼす。日本という第三国の開催は、本来のクラブチームのあり方を疎外する。大陸別輪番性に開催国を決めるしかないのだろう。
今回の日本開催の大会は、テレビ中継で世界に送られ、大会のおもしろさがグローバルに認識されるに違いない。今大会を起点にして、FIFAが蒔いた種はいずれ大きく花開くだろう。日本のクラブチームがその流れに乗り遅れないことをただただ、祈っている。
きょう(12日)、1回戦第2試合、シドニーFC(オーストラリア)vsデポルティボ・サプリサ(コスタリカ)が豊田スタジアムで行われ、サプリサが三浦知良の所属するシドニーFCを1−0で下した。カズ及びシドニーFCの準決勝進出はなかった。カズの最後(?)の挑戦が終わったのかもしれない。


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