Sports Enthusiast_1

2005年12月02日(金) 運命の日

明日はJリーグ最終日。そして、優勝の可能性を残す5チーム――1位C大阪(58)、2位G大阪(57)、3位浦和(56)、4位鹿島(56)、5位千葉(56)(3〜5位は得失点差)のどこかに栄冠は輝く。( )内は勝点。
優勝の可能性が最も低いのは千葉。千葉が優勝するためには、上位4チームのすべてが勝点3を上げられない場合に限るからだ。C大阪、G大阪、浦和、鹿島のどこかが勝てば、千葉が勝っても優勝はない。
最終日の対戦カードに味がある。1位C大阪(H)はF東京(10位)、2位G大阪(A)は川崎(6位)、3位浦和(A)は新潟(12位)、4位鹿島(H)は柏(16位)、5位千葉(H)は名古屋(14位)となっている。柏がJ2・3位と対戦を控えている以外の4チームに降格はなく、最終戦に勝っても負けても、チームに与える影響は少ない。
この組合せを見れば、順当にいけば、優勝にからむ上位5チームが勝つ。つまり、勝点トップのC大阪が優勝するはずだ。が、サッカーに限らず、勝負はやってみなければわからない。なかんずくサッカーは「世紀の番狂わせ」に事欠かない。筆者には、1996年の米国五輪で「マイアミの奇跡」と呼ばれた、ブラジルvs日本の記憶が鮮明に残っている。日本がブラジルに1−0で勝ったのだ。そのときの五輪日本代表監督は、いまG大阪の西野だった。そしていま、西野が率いるG大阪は、序盤からトップを走っていた鹿島を圧倒的な攻撃力でとらえそのまま優勝するかと思われた。ところが、終盤にきて調子を落とし、今季Jリーグの混戦に巻き込まれ、C大阪に抜かれて2位に退いた。G大阪が最終戦で逆転優勝するためには、自ら勝利しC大阪が勝てなかった場合に限る。
さて、優勝の可能性を残した上位チームと戦う下位チームのモチベーションはどうなのだろうか。筆者にはこうした経験がないのでわからない。スポーツコメンテーター諸氏の話を聞くと、リラックスして戦えるので、実力どおりの試合ができるという見方が一般的だ。その一方、緊張がない分、のらない可能性もある。そんなことを頭に置きながら、対戦結果を占ってみよう。
(1)鹿島0―0柏
下位5チームの中、柏の選手の精神状態だけが特別だ。柏だけが、J2・3位との入れ替え戦2試合を控えているからだ。柏が鹿島に簡単に負ければ、その戦いに影響が出る。負けても自分達の戦いのスタイルを貫ければ、次につながる。だから、鹿島は柏に苦戦するので、引分けの可能性が高い。
(2)新潟2―1浦和
反町監督の退任決定後のホーム最終戦。新潟の選手のモチベーションは高い。新潟ホームのサポーターと、逆転Vを信ずる埼玉から乗り込んだ浦和サポーターの応援合戦でスタジアムはヒートアップ。精神力の戦いになると思うのだが、苦労人集団の新潟が優等生の浦和に競り勝ち、超満員の両チームサポーターの前で浦和に引導を渡す。
(3)G大阪1−1川崎
ここのところ勝てないG大阪が、最終戦まで勝ちきれないまま、リーグ戦を終える。遠藤(G大阪)のFKで先制するも、アラウージョ(G大阪)が不発で追加点を奪えず、川崎のジョーニーニョに決められ痛恨のドロー。
(4)C大阪1―2F東京
退任が決まった原監督に花道をと、F東京の全選手が激しいプレスでC大阪を圧倒する。F東京の左サイド・鈴木が大暴れして絶妙クロスを連発。好調のFW阿部が2発決めて、C大阪は完敗する。なんとなく負けなかったC大阪の強運もここで尽きる。
(5)千葉2―0名古屋
試合開始から引き気味の名古屋。ホーム千葉に自由にボールを回されて完敗。監督の途中交替などで結束力のない名古屋は、千葉の運動量についていけない。満員のフクアリで千葉が奇跡の優勝!
2005年12月3日、運命の日、もっとも優勝の可能性の低いはずの千葉だけが勝って逆転優勝。後世の人は、Jリーグ2005年シーズンを「奇跡のシーズン」と呼び、この日の出来事を「12.3」を記憶にとどめるに違いない。
と、筆者の想像、夢想は続く。筆者は実はシーズン前、当コラムにて千葉の優勝を予言した。だから、そうなってほしい。


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