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2005年10月16日(日) Jリーグ、悪い兆候

●攻撃は外国人選手まかせ
15日(第27節)のJリーグの結果は、ちょっと気になる。浦和7−0柏、川崎4−1名古屋、大分5−0清水、G大阪4−1神戸と、大量点、一方的な試合展開が多すぎる。得点者をみると、浦和のマリッチ3、川崎のジョニーニョ3、大分のマグノアウベス2、G大阪のアラウージョ2。さらに、浦和のポンセ、川崎のマルクス、大分のエジミウソン、東京Vのワシントン、C大阪のファビヤーノ、新潟のアンデルセンリマ、神戸の朴が1得点で続く。外国人選手の得点獲得が圧倒的で、全得点29点中17点にのぼる。外国籍選手の出場は、1チーム3人までに限定されているから、出場選手数の割合でみれば圧倒的シェアを占める。第27節(15日)に限れば、Jリーグの得点における外国人選手比率は6割弱だ。全試合の比率を計算していないが、もしかしたら、5割以上に達するのではないか。通算得点ランキングをみても、日本人最高得点が大黒16で3位、1位のアラウージョ30得点に大差をつけられている。(2位はワシントンの20)
レベルが上がり白熱した試合が続くJリーグだが、この数字を見る限り、攻撃については、外国人依存であることがよくわかる。Jリーグで上位を占めるには、得点力のある外国人選手を獲得することが近道というわけだ。
日本代表の試合が攻撃力に乏しい、あるいは、ゴールを目指す気迫がない、と指摘されるが、Jリーガーは試合で得点を上げる機会はもちろん、狙う機会も少ないのが実態なのかもしれない。日本人ストライカーの誕生は夢か。

●“削る”プレーをコーチング?
さて、話は変わって、問題の浦和vs柏。柏のDF土屋が浦和のFW田中をタックルで骨折させる事件が起きた。そもそも、この試合は荒れていた。事件が起きる前、柏の明神がイエロー2枚で退場。2枚目の明神のタックルもレイト気味で危険なものだった。柏側は浦和のラフプレーにカードは出ないで、自分達ばかりにイエローが出る、と苛立ちがあったという報道もあった。Jリーグの審判の質も事件の背景の1つかもしれないが、そう確言するだけの情報を筆者はもっていない。
だが、よくよく考えてみれば、柏にラフプレーが増えたのは、あの人がコーチに就任してからではないか。柏のファウルは、南米サッカーでよくある“削る”プレーに近い。柏のコーチは、選手に闘志・根性・闘争心を煽って、相手の好調な選手を削って退場に追い込み、試合をものにするという戦術をとろうとしたのか。柏の汚い守備が故意でなければ、あまりにも技術が低すぎる。好調田中(浦和)を狙った土屋のプレーは、やってはいけないプレー。田中の選手生命を奪う可能性があるものだ。土屋は、出場停止期間がとけても、自発的に謹慎してほしい。

●破綻、崩壊する下位チームの守備
東京V(17位)が一時期、大量失点試合を続けた。監督が代わってやや落ち着いてきたものの、15日は退場者が出た柏(14位)はもちろん、名古屋(9位)、清水(15位)、神戸(18位)と、名古屋以外、降格ラインにひしめくチームが大負けしている。下位グループはおしなべて守備が脆く、上位に勝点及び得点をやすやすと献上している。神戸は、試合開始から超守備的布陣を敷いて、終わってみれば4点も取られている。論外というほかない。日本サッカーのトップリーグで、プロ同士がこのような大味な試合をしてはいけない。リーグ終盤、下位チームは負けるにしても、上位を苦しめなければいけない。
もっとも、神戸については、当コラムで何度も書いたとおり、クラブ(オーナー)がチームを強くするプランを放棄したとみなされる監督更迭をリーグ開始前に行っている。神戸は実力から見て降格は当然だが、選手がもっともっと走り、相手を厳しくチェックすれば、4点も取られるはずがない。走るスタミナがないのは練習不足、厳しくチェックしないのは気合不足。ひたむきにプレーしなければ、クラブはもちろん、リーグを壊すことにもなりかねない。
ふがいない試合を続ける下位チームに、猛省を促したい。


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