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2005年10月11日(火) 真の阪神ファンならば

阪神タイガース球団株の上場については、野球協約違反にならないように、球団の上に持ち株会社(阪神タイガースホールディングズ/HTHD)を設立する案が浮上している。阪神電鉄がHTHDの株式の51%以上を保有し、残りを上場して流動化するというのだ。おもしろい案だと思う。専門家の指摘では、阪神電鉄の上位に阪神ホールディングズ(HHD)を設立して事業会社をその傘下に置くことのほうが本筋だというが、それはそれとして、HTTDが球団本体及び球団関連企業――たとえばグッズの製造販売、ライセンス管理、球場運営管理会社等々――を傘下にして、ひとまずスタートしてもおもしろい。
実態上の阪神球団の株はおそらく、かなりの額で取引されると思う。そうなれば、阪神球団は、読売を上回る資金調達が可能となり、球団運営に大きなメリットが生ずる。プロ野球界における読売一極支配構造は、資金調達面で阪神が上回ることにより、解消される。読売の横車がなくなり、理に適ったプロ野球運営が期待できる。
そればかりではない。HTHDの経営者の力量次第だが、周辺住民にも好影響が出てくる。課題の1つである老朽化した甲子園球場の改築が進み、一帯がボールパークになる可能性が高まる。そうなれば、沿線の都市開発が進み地価上昇が見込めるから、周辺住民の資産価値は高騰する。まちの付加価値が上昇するから、地域のステータスが上昇する。ちょうど、ディズニーランド建設によって、京葉舞浜地区の不動産(資産価値)が上昇したのと同じ現象が甲子園球場周辺に期待できる。
テレビには、“村上ファンドと戦うぞ”と気勢を上げている硬派のタイガースファンが登場する。けれど、以前、当コラムに書いたとおり、まったくの誤解だ。村上ファンドの提案が説明不足だから誤解が生じたのか、それとも、テレビ等のマスコミ報道の仕方が誤解を生んだのか原因は定かでないが、真の阪神タイガースファンならば、読売一極集中から脱して、阪神HTHDが球団の盟主になる可能性が高まり、ホーム球場及びその周辺が整備され、自分達の住む地域の付加価値が高まり、その結果自分の資産価値が高まることに反対する者はいないと思うのだ。
大阪の人は儲け話に敏感だという。ならば、村上ファンドが提案する儲け話に乗らない手はない。読売がスポーツマスコミを使って撒き散らす虚偽報道に踊って、味方の村上ファンドと「戦って」はいけない。阪神球団の星野SDが真に阪神タイガースを愛するのならば、その熱血振りを、いまこそ、HTHDの実現に向けて発揮してほしい。
(追記)
夜、ニュース番組に星野SDが特別出演していた。星野SDは村上ファンドの上場提案に反対という立場を明確にした。星野SDの立場を大雑把にいえば、野球素人がプロ野球のことに口を出すな、という独善的なものだった。阪神が負ければ株が下がる、と星野SDは決めつけるが、そんなことはない。球団株が投機の対象になるというが、株とはそもそも投資なのか投機なのか区別できないものだ。もちろん、投機株に自分の金をつぎ込むことは、違法ではない。球団株を投機株とみるかどうかは、投資家の判断であって、観念的社会通念で判断すべきでない。もちろん、星野SDが決定する事項ではない。球団SDが個人の投資行動を妨害するような発言をするとは、極めて残念だ。星野SDも読売と同類、古臭い「プロ野球ギルド」の一員ということだ。
影響力、発言力のある星野SDが、時代の流れに乗らない以上、球界からは改革の流れは絶対に起きないと思える。星野SDが言うように、プロ野球は「文化財」だ、と固定的に考えるのならば、「文化財」とは朽ち果てる運命にある物であることは、疑いようがない。このままいけば、大相撲と同じ運命が待っている。日本の真の野球ファンは、テレビで日本人選手が活躍するMLBを見るしかなくなる。若者に「好きな野球チームはどこ?」と聞けば、「ヤンキース」と答える時代が近づいてきた。


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