Sports Enthusiast_1

2005年10月05日(水) 痛々しい

サッカーJ2横浜FCのカズがシドニーFCに移籍した。もちろん、この移籍は、今年初めて開催される世界クラブ選手権のためのもの。この大会は日本で開催されるにもかかわらず、地元の日本のクラブの出場がない。ACL予選で敗退してしまったのだ。開催国チームが出ないから、大会は盛り上がらないし、チケットの売れ行きも悪いらしい。報道では、カズの移籍は、大手広告代理店の思惑で実現したという。この時期、J1の代表、元代表クラスで、サッカーに関しては二流以下の豪州のクラブに移籍を望む選手はいない。世界クラブチーム選手権に出場できたとしても、移籍先が豪州では、ステップアップとは言えない。
そこで、J2のカズに白羽の矢が立った、のだろう。カズの本当の気持ちはわからないけれど、「日本サッカーの話題づくりのため」という大義を選んだのだと思う。カズとはそういう、“男気”のある選手なのだ。
それにしても、残酷な話だ。ブラジルの名門サントスでレギュラーという実績を引っさげて日本に帰国。アメリカW杯アジア予選では「ドーハの悲劇」を体験し、セリエAでは怪我に泣き、フランスW杯では目前で代表落ち、クロアチアでも活躍できず、Jリーグ復帰後は、V川崎、京都、神戸へと渡り歩き、今年はJ2にまで流れた男だ。フランスW杯での仕打ちを思えば、日本サッカー界に義理立てする理由はないと思うのだが、カズにはマイナス思考ができない。日本のサポーターが喜ぶのならば、と移籍を承諾したのだと思う。
大会でカズの活躍はおそらく、望めまい。けれど、開催中に1得点でいいから上げてほしい。それがカズの最後の“栄光のゴール”になる可能性も高い。スポーツ選手としてはきわめて、運がないけれど、その功績と現在の境遇は、MLBに最初に進出した野茂投手と似ている。キズだらけの栄光とは、この二人のためにある言葉か・・・


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tram