Sports Enthusiast_1

2005年07月17日(日) 女子バレーを守れ

ここ数年、Fテレビの女子バレー世界大会の私物化にはあきれていた。アイドルグループを「応援隊」にして、人気を煽っていた。今年はその「応援」アイドルグループのうちの未成年者が飲酒で摘発され、補導されてしまった。Fテレビはライブドアが買収を目指したところ。そのとき、自分達テレビ局は「ジャーナリズム」だと主張し、「ネット屋」とは違うかのような発言をしたものだが、Fテレビはエンターテインメント企業であって、断じてジャーナリズムではない。アマチュアスポーツの女子バレー大会とアイドルグループをくっつけて、視聴率を稼ごうとしたのだから。
女子バレーがおもしろいかどうかは、それぞれ見る側の趣味の問題。筆者はスポーツファンだけれど、全然興味がない。セットをとるのに長時間かかるし、攻撃パターンは単調だし、ジャンプ力は驚異的だけれど、テクニックに味がないような気がする。
でも、アマチュアスポーツとしては世界中にプレイヤー、チームが存在しているので、少なくとも野球よりは国際的だ。日本では人気があり、東京オリンピックのとき「東洋の魔女」が金メダルをとって、一躍メジャースポーツにのし上がった。「東洋の魔女」は非人間的猛練習で栄光を手に入れたと聞いているが、外部の者に実態はわからない。
どちらかといえば、地味なバレーボールが東京五輪を機に日本でメジャー化した。しかし、内容にスペクタクル性が欠けているため、人気に翳りが出た。そこで、Fテレビが「てこ入れ」をしたのだ。「てこ入れ」の手法は、スポーツと乖離した内容だった。選手をあだ名で呼びアイドル化し、「応援隊」としてアイドルグループを起用したのだ。ターゲットはローティーンの少女層だ。
Fテレビの芸能路線=「てこ入れ」は、人気回復面では成功した。世界大会の会場は満席だし、応援も派手だ。アイドルグループ目当てのローティーン層が会場に詰めかけ、女子バレー人気はバブルと化した。そのバブルが「飲酒事件」ではじけたのだ。スポーツとは無縁のアイドルグループがスポーツとは無縁の「飲酒事件」を起こし、過酷な練習に励む選手たちの努力を無駄にした。
女子バレーをスポーツとして楽しもうとする層は、Fテレビの中継を見ない。芸能化する女子バレーにスティグマを感じ、自分がスポーツとして興味をもったことを恥じる。当然のことだ。
スポーツを芸能化し特殊なコンテンツに加工するFテレビには、スポーツ大会を運営する資格はない。中継をする資格ももちろんない。日本のバレーボール協会が真に機能しているのならば、スポーツを冒涜するFテレビの人気獲得路線に異を唱えるべきだ。協会が選手とバレーボールを守ろうと思うのならば、いまからでも遅くないから、人気(視聴率)偏向のFテレビとの提携を破棄すべきだ。
協会が良識を示せないのならば、協会、Fテレビ、アイドルグループの3者に選ぶところはない。芸能路線のバブルに踊った3者は同罪と見たほうがいい。


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