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2005年06月12日(日) 代表なんて・・・

ブンデスリーガのチャンピオン・バイエルンミュンヘンが、アリアンツ・アレーナ(ホームグラウンド)の杮落としでドイツ代表Aと試合をした。ドイツA代表はバイエルン以外の代表選手で構成されており、代表の顔であるカーンやバラックといったバイエルンの選手はクラブ側での出場だった。
筆者はその試合を昨日、録画で見たのだが、試合の模様は異様だった。日本で行われる日本代表の試合で代表チームが激しいブーイングを浴びることをだれが想像できようか。でも、ドイツではそれが現実なのだ。
アリアンツ・アレーナの杮落としなのだから、この試合はイベントであって、もちろん真剣勝負であるはずがない。ところが、A代表のGK・イェンス・レーマンがボールを処理しようとすると、バイエルンのサポーターから激しいブーイングが浴びせられる。世界のサッカーを見慣れているはずの解説者S氏までもが「信じられませんね」とあきれ返る状況だ。バイエルンのサポーターは代表GKにはバイエルンのカーンが選ばれるべきだと考えているため、この試合でA代表のGKを務めるイェンス・レーマンはカーンのライバルに当たる。そのため、とりわけ激しいブーイングを浴びている、というのがS氏の解説だ。
日本ならば、浦和のホームグラウンドで浦和と日本代表が試合をして、日本代表が浦和のサポーターからブーイングを浴びている光景を想像したらいいのかもしれない。代表ではDFの左を中澤(横浜)と坪井(浦和)が争っているから、浦和のサポーターは中澤にとりわけ激しいブーイングを浴びせることになるのかもしれない。しかし、最も過激だといわれる浦和サポーターであっても、日本代表にブーイングを浴びせることはあるまい。浦和と日本代表の試合が実現したとしても、せいぜい、親善試合としてフェアプレーを楽しむ、というのが日本のサポーターだろう。
ドイツは地域の独立意識が強い国家であることは、よく言われていることだが、これほどまで「中央政府」が嫌われているとは思わなかった。日本では地方分権が内政の最重要課題の1つだが、サッカーの代表人気がクラブ人気を下回ったとき、それが実現しているときなのかもしれない。筆者はバイエルンが2−0でリードした時点でテレビチャンネルを切り替えたため、どちらが勝ったかはわからない(4−2でバイエルンが勝利したとのこと)。
昨日、欧州サッカーでは代表よりもクラブの方が優先する、というダバディ氏の論考を当コラムで紹介したばかりだが、この録画中継が絶好の事例紹介となったわけだ。なんともいいタイミングだった。
日本で日本代表ばかりを追いかけているだけでは、世界のサッカー事情は何一つ分からないということだ。「絶対に負けられない戦い」などと時代錯誤のキャッチフレーズを流して絶叫中継をする日本のテレビ局というのは、ローカルというかドメスティックというか、なんともおめでたい存在なのだな、と感じてしまった。
だが、筆者にはサポートすべきクラブがないぞ。だれか、東京の下町にクラブとスタジアムをつくってくれぃ。


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tram