Sports Enthusiast_1

2005年06月05日(日) マナマからバンコクへ

日本代表がバンコクに到着した。アウエーのバーレーン戦に勝利した日本は、バンコクで北朝鮮戦に勝つか引き分けるかでアジア予選を突破できる。北朝鮮はすでに3位以下が決定しており、これまでのところ予選で勝利がない。
ご承知のように、この一戦は北朝鮮のホームゲームとして、平壌で行われるはずだったが、先に北朝鮮で行われたイラン戦におけるジャッジをめぐる観客の混乱をみたFIFAが、第三国・無観客試合を決めた。
北朝鮮は先のイラン戦で監督が退席処分を受けており、日本戦は監督不在になる可能性が高い。一方の日本はバーレーン戦で主力のヒデ、俊輔、三都主がサスペンション。先発はおそらく、柳沢、玉田(大黒)の2トップ、小笠原のトップ下、三浦、加地、福西、稲本の中盤、中澤、宮本、田中のDFでおさまるのではないか。MF3選手が出場できないから、3−6−1はないだろう。
筆者は北朝鮮のサッカーが嫌いではない。いまの日本代表より、スピード、パワーにおける可能性、すなわち、ポテンシャルは高いと思う。戦術的な未熟さ、経験の浅さ、GKのレベルの低さを克服すれば、東アジアで中国と並んで脅威的存在になる。とりわけ、警戒すべきは北朝鮮のパス&ゴーのシンプルな攻撃だ。プレスをかけたところで、相手のスピードでかわされることが恐い。相手をスピードに乗せない守りに特別な方法はない。先んじた執拗なチェックだけだ。日本はファウルを恐れず、身体で相手の走りを止めなければいけない。「一対一で勝つことが試合に勝つことだ」とヒデは言ったそうだが、その通りだと思う。がむしゃらな相手をはぐらかそうと思ってはいけない。相手が気迫でくるなら、気迫で迎え撃つことだ。
ジーコジャパンには3人の監督がいる。総監督はいうまでもなく、ジーコ。守備担当は宮本、攻撃担当がヒデ。ジーコには、チームを規律でまとめる資質がないから、この2人にピッチの指揮を任せている。ヒデは孤高の存在で、世界レベルの要求を選手に出していると思う。ヒデが好調な限り、ヒデ効果はプラスに働き、結果に結びついている。
ヒデが選手に発している要求は本来、監督の仕事だ。選手は調子が悪くなれば、いくら指示をだしても周りの選手が聞かなくなる。プレーをしない監督が必要なのだ。幸い、ドイツ大会に向けたアジア予選ではヒデの調子が上向きで、選手も彼についてきた。ジーコジャパンとは、結局はヒデ次第。場合によっては、ヒデを切ることも辞さなかったトルシエ。ヒデに前面的に拝跪するジーコ。代表監督のあり方としては、前者だろう。
ヒデがいなくなった日本代表は、ジダンがいなくなったフランス代表と同じ道を辿るのだろうか。おそらく、その可能性が高い。サッカー協会が、U20代表→オリンピック代表→フル代表という年功序列の三角形をイメージしている限り、才能のある若手の経験の場は少なくなる。
いま、日本サッカーのすべてを再構築するときだと思う。


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tram