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2005年04月29日(金) 久々にプロ野球

読売が4月末で最下位。これまで大金で獲得してきたホームラン打者に加えて、現役大リーガーを投打に補強して最強のチーム作りを果たしたはず――だったし、清原は4番打者としての定着を目指し、下半身を鍛え直して走れるはず――だったのだが・・・読売は、スタートダッシュにみごとに失敗した。
読売の現在の成績は意外なものではなく、当然の結果だろう。攻撃陣では、現役大リーガが先発で起用されたため、天才打者・清水が試合に出られない。清水に代わって先発している現役大リーガーは、8番打者で打率は2割に満たない。さらに、ここ数年のホームランでしか点が入らない傾向は、是正されないままだ。
「最強の4番打者」のはずだった清原の下半身は、開幕から一月しかもたなかった。昨年も当コラムで書いたことだけれど、彼の肉体改造はユニフォームの上から見る限り、日本の野球にフィットしていない(ように筆者には思える)。おそらく、ウエイト系の鍛錬で、野球選手には不必要な筋肉が上半身につきすぎている(ように思える)。Jリーグでは、神戸のベテラン・三浦(カズ)が復活したが、彼の場合、体重を落とし、下半身への負担を減らして、動きにキレが戻った。清原も同様に、筋肉の量を指向するトレーニングから、質に転換するトレーニングに切り替えなければ、この先も故障に悩まされるだろう。しかも、加齢に従い、下半身を鍛えることはより難しくなる一方、ウエイト系トレーニングを続ければ、加齢にかかわりなく、筋肉を増やすことができる。清原が筋肉指向から脱却しない限り、野球選手としての復活はない。清原が適正なトレーニング方法でよほどの努力をしない限り、1シーズン働ける肉体に戻れない。読売は故障の清原の代替として、5月以降、清水をファーストで使うこともあるだろう。それが想定の範囲内ならばそれでもいい。けれど、劇的な効果は期待できないと思われる。
投手陣はどうだろうか。上原以外は安定感を欠いている。桑田は二軍で調整中だ。シンカー依存の高橋は、若いけれど、限界が見えている。工藤は200勝を達成して、すでに上がり状態だ。木佐貫はケガで出られない。代わりに先発に抜擢された左腕内海も経験不足だし、林も伸び悩んでいる。中継ぎ陣はシコースキー、前田、佐藤と、中日と比べるまでもない。クローザー(抑え)にいたっては、これまた現役大リーガーのクローザーが不振で早々とクビになって、久保が勤めているというから、12球団中最弱だ。
守備では、捕手の阿部の盗塁阻止率は限りなくゼロに近いし、ローズの緩慢プレーを指摘したコーチが逆に、ローズの怒りを買う始末。ローズはコーチ批判と球団に対する暴言で、罰金処分を受けた。走に至っては、読売の盗塁成功がいつあったのか、記録を探ってもわからないくらいだ。
チームのバランスが崩れ、打、投、走、守のどれをみても、他球団より劣る。これでは監督がだれでも勝てないのかというと、そんなことはない。なぜならば、好走好守の鈴木は二軍だし、巧打の清水、斉藤は控えだし、勝負強い川中、後藤も二軍でくすぶっている。駒があるのに使っていないのだ。開幕して一月間はとにかく我慢だ、というのが現監督の方針なのかもしれないが、いま、パリーグでトップを走る千葉ロッテの場合、選手の流動化が激しい。つまり、調子のいい選手を使おうという基本方針がチームに徹底している。選手もそれに従い、モチベーションを高めている。だから、読売の監督が、調子のいい選手をうまく使うような選手起用法に転換すれば、結果が変わる可能性もある。
堀内監督のチームイメージは、V9の「巨人」かもしれないが、そんな時代は二度とくるはずがない。監督が、選手起用法及びチームイメージを改めないのならば、5月攻勢もない。もちろん、監督を替える決断も大いにあり得るし、最適の選択だと思う。


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tram