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2005年04月24日(日) 磐田よ、「巨人」になるな

先日、藤田(磐田)の浦和への移籍について書いた。ところが、磐田は浦和のオファーを蹴飛ばしたらしい。確かに、磐田にとって藤田放出は、戦いの最中に相手に塩を送る結果になる。だから、藤田は出せない、という論理だろう。筆者は、一見当然のように思える磐田の「戦いの論理」を肯定しない。
そもそも、磐田は市原(現千葉)から主力3人(うち1名は京都にレンタル中)を取った。さらに、韓国代表及び海外在籍中の日本代表GKまで取った。有望な若手が有り余るほどいるのにもかかわらず・・・
磐田の補強は、プロ野球の「巨人」(読売)と同じだ。戦力均衡がサッカーに限らず、スポーツに白熱化という面白さをもたらすという根本原理から言えば、磐田の「巨人化」は、エゴイズムであって、リーグの発展に資するところがない。
藤田はベテランで才能のある選手だが、現在の磐田に不要なのは、だれでもわかることだ。藤田が悪いわけではないし、監督が悪いわけでもない。ベテラン選手には、遅かれ早かれそのような時期に遭遇する。そのとき、クラブがプロ野球の「巨人」にならって、敵の戦力にならないよう、ベテラン選手を「飼い殺し」にするようなことを、サッカーの世界でやってほしくない。選手は試合に出ることが望ましい。才能のある選手であれば、ファンもその活躍を別のクラブで見ることを望んでいる。たとえば、鹿島を放出された秋田は、いま、名古屋の躍進を支えている。新潟のチームリーダーは名古屋から放出された山口だ。市原(現千葉)のユーティリティープレイヤー・中西は、いま現在ケガで試合に出ていないが、横浜の貴重な戦力となっている。
藤田のトップ下が浦和で実現したとしたら、浦和の3トップの攻撃陣は、今以上の破壊力を発揮し、浦和の攻撃は、想像以上にスペクタクルなものとなる。田中、エメルソン、永井らはその才能をいま以上に開花させる可能性が高い。浦和のサポーターがそれを望む。もちろん、藤田が加入した浦和を迎え撃つ相手チームも、必死になって浦和そして藤田を止めにかかる。その結果、厳しいプレーが続き、双方のサポーターがエキサイトし、サッカーのレベルが上がる。こうしたシナジー効果が、日本サッカーの発展につながる。
筆者は、磐田ほどのクラブが浦和のオファーに対して、検討すらしないという態度を示したことを遺憾に思う。スポーツファンは、読売(巨人)がプロ野球の世界で繰り返した「飼い殺し」の悲劇を望んでいない。磐田のサポーターだって、レッズのユニフォームを着た藤田を見たいに違いない。磐田vs浦和が因縁の戦いになるのならなおさら、結構なことだ。観客が増えるのだから、興行面でもプラスになる。


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