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2005年03月26日(土) 想定内

日本代表がイランに負けた。いま流行の言葉で言えば、想定内の出来事だった。もちろん想定内なのは筆者だけであって、ジーコ監督も選手もサポーターも想定外に違いないが・・・
TV中継を待つ間、奇妙なことにいつものような緊張感がなく、眠気が襲ってきた。試合が開始されるとすぐに、日本の負けが見えてくるような気がした。やがて幻視が事実となって現れてしまった。まさにそれは想定内の負けだった。
試合経過は省略する。敗因は日本サッカー協会及びJリーグ関係者並びにジーコ監督だ。この間、ずっと書いてきたことだけれど、2005年、A3、W杯北朝鮮戦、Jリーグ開幕、ACL、ドイツ合宿と強行日程をつくったサッカー関係者が中澤(横浜)を壊した。ジーコ監督は言うまでもなく、ヒデと中村の併用にこだわったため、4−4−2の急造システムを採用して、チームのコンビネーションを壊した。この負けは、ジーコジャパンの「終わり」の「始まり」になる可能性が高い。
いまの日本代表の核はヒデでではない。もちろん、稲本や柳沢、高原ではない。彼らは海外に「いる」プレーヤーであって、海外で活躍しているわけではない。では核はだれかといえば、攻撃では三都主と中村、守備では中澤だ。三都主は日韓大会の代表だったが控え選手だったし、中澤、中村は直前の代表選考でもれた。この3人にとってドイツ大会は、日韓大会で果たせなかった夢がかかっている。だから、三都主、中澤、中村を軸に、代表チームを組み立てていくほうがいい。
では、ヒデはどうなのか。筆者はヒデが元気ならば、予選は大丈夫だと以前書いたけれど、体調は万全ではないようだ。それでもジーコ監督はヒデをもっとも信頼し、得別扱いする存在だが、実はジーコ監督のその扱い方が間違っている。ジーコ監督のサッカーに哲学があり、その具体化に必要な規律(Discipline)があるのならば、司令塔はどちらか調子のいいほうを使えばいい。
中盤はダブルボランチ(2)、左右のサイドハーフ(2)、司令塔(1)の合計5人。残りは引き算すればいから、FW2人、DF2人だろう。必然的に3−5−2のシステムに落ち着くのではないだろうか。
ジーコ監督のように、ヒデと中村を先発で同時に起用しようとするからおかしくなる。
さて、イラン戦では、三都主が出場停止、中澤は故障で本調子ではなく、中村は左の二列目で得意なポジションではなかった。さらに、敗戦後の選手のコメントを読むと、自分達のバランスがかなり悪かったことがうかがえる。また、中村は、ジーコ監督がはっきりとゲームプランを出さなかったと述べている。
そのような中で、日本が1−1まで追いついたことは驚きだった。引き分けられれば大儲けの試合だった。ジーコ監督のツキはすごい、と一瞬感じてしまったものだが、そうも行かなかった。
ジーコ監督のツキは、W杯一次予選〜アジア杯〜北朝鮮まで続いた。麻雀にたとえれば、リーチ、一発、ツモ、裏ドラの満貫や、ラス牌のカンチャン、ペンチャンをつもって勝ち続けたようなものだった。でも、そんな一人勝ちが勝負の世界で続くわけがないのだ。
あるスポーツジャーナリスト氏は、ジーコジャパンについて、とにかく結果を出す監督・チームだと評した。が、筆者は当コラムでその評価に反論したことがあった。反論の根拠は、ジーコジャパンのロジックの欠如だ。場当たり的な対応があまりにも多かった。今回も、イランが欧州から近いという理由で、海外組に召集をかけたが、ドイツ合宿に合流した時期は試合直前だった。この状況ならば、Jリーグでドイツで調整した選手の方がコンディションは上がるはずだ。直前合宿も選手が合流しなければ意味がない。すべてがチグハグ、極論すれば、こんな準備で日本はイランに勝ってはいけない。


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