Sports Enthusiast_1

2005年03月11日(金) アウエーの現実

きのうの当コラムで書いたアウエーの危険性が大げさでないことは、斉藤香織氏の「磐田やられたアウエーの暴力/アジアCL」(NIKKANSPORTS.DOT.COM/3月10日)を一読すれば了解していただけると思う。
Jリーグ開幕戦、福西の「ハンド」で横浜に勝った磐田が、中国スーパーリーグ優勝のシンセンとアウエーで対戦。0−1で惜敗した。
この試合は酷かったらしい。斉藤香織氏のレポートは伝える――磐田には激しいブーイング、審判はホーム優位の判定、相手はラフプレーを繰り返し、前半37分には顔にヒジ打ちを食らった茶野が担架で運び出された。それでも磐田は冷静に試合を進めていた。ところが、相手の再三のラフプレーにも笛を吹かない審判への不満が爆発、福西が中国代表主将のDF李と小競り合いし、ともに警告。後半38分には、控えの鈴木が相手選手の遅延行為に対してベンチから飛び出して口論。退場処分を受けた。スタンドからはブーイングが鳴り響き、コインやペットボトルが投げ込まれた。一触即発の大荒れの展開・・・
私は中国の「サッカー事情」を認めない。狭隘なナショナリズムにとらわれ、スタジアムに集団暴力を持ち込んでいる。こんなサッカー風土は早く改善されるべきだ。民度が低い、スポーツ文化が成熟していない・・・等々の批判は自由だけれど、日本が世界を相手にアウエーで試合をする以上、中国のような状況を想定しなければならない。
日本の「サッカー」は恵まれている。日本のスタジアムに暴力の影はないし、サポーターも大人しい。相手国にプレッシャーを与える行為もない。「フェアプレー精神」が徹底していて、相手にも敬意を払う。さてこれが世界水準かといえば、必ずしもそうといえない。サッカーの楽しみ方、見方、応援の仕方は、国ごとに違う。たとえば、スペインのレアルマドリードとバルセロナの一戦の背景には、カスティーリア王国(マドリード)とカタルーニア王国(バルセロナ)の対立という、中世以来の歴史を負っているし、重ねて、20世紀初頭における、フランコ独裁派(マドリード)による共和派(カタルーニア=バルセロナ)への圧政支配とその怨念がある。だから、そこには暴力や政治の影がつきまとっている。南米のペルーとチリの一戦には、かつての国境紛争の影が漂っている。セルビアとクロアチアはユーゴ紛争の傷を引きずっている。日本と中国は、中国が一方的に「反日」であるとはいえ、日帝の侵略戦争の歴史と中国の思想教育の影を引きずっている。その意味で、日本サッカーも「危険な関係」の当事者であることを忘れてはいけない。
もし、福西(磐田)が、ここ(中国・シンセン)で、横浜戦のようなプレーをしたら、コインが飛んでくるだけではすまない。磐田は群集に襲われる可能性がある。もし、ここ(中国・シンセン)で、主審・岡田があのような誤審をしてシンセンが負けたら・・・
ここからはきのうの繰り返しになるのでやめておく。


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tram