Sports Enthusiast_1

2005年02月10日(木) 弱点

昨日の北朝鮮戦は、日本サッカーが抱えている問題点を浮き彫りにした。辛勝しようが楽勝しようが、とにかく勝点3の「結果」を得られたのだからよし、とする評価・報道もあるようだが、私の考えはそれとは違う。

(1)お嬢さまサッカーのツケ
日本代表は競り合い、球際、一対一で劣っている。とにかく弱い。たとえば、FW玉田。彼は相手DFのチェックにすぐ倒れて、審判にファウルを要求した。このような行為は、私が最も嫌いなものの1つだ。国際公式戦の審判は、もらいにいった「ファウル」を絶対にとらない。しかも正当なチャージに対して審判にファウルを要求すれば、審判に対する侮辱でカードをもらう可能性がある。きのうは幸いにも、玉田にカードは出なかったけれど、アウエーならわからない。反省してほしい。
玉田の見苦しいプレイの背景には、Jリーグの「お嬢さまサッカー」の横行がある。日本の審判は競り合いよりも華麗なパス回しを好む傾向があるので、選手同士がガツガツ肉弾戦を演じはじめる前に、すぐ笛を吹く。試合が「荒れる」のを恐がっている。荒れたっていいじゃないか。正当なのか汚いプレイなのかを見極めるのが、審判の仕事なのだ。何人退場者が出ようが、自分の裁定が世界基準なのだ、という信念をもって笛を吹けば、選手だって理解できる。
その一方で、日本選手の不当なファウルが目立った。競り合いの中で、手を使って相手を押したり引っ張ったりするプレイだ。手を使うかショルダーチャージかは、国際級審判なら、見分けがつく。
とにかく、日本代表は、肉弾戦で北朝鮮に負けていた。先述した玉田と、強いと言われている小笠原の二人が、相手に「つっかけ」られ、簡単にボールを奪われていた。欧州の強豪の当たりはもっと、きつい。

(2)新戦力の補充がない
きのうは控え(大黒・高原・中村)が活躍して、日本の選手層は厚くなったように見えるのだが、次のイラン戦(アウエー)には、三都主、田中が出場停止となった。ところが、報道によると、ジーコ監督は、三都主の代わりに三浦(淳)を起用する、と明言したらしい。ジーコ監督のこのような“軽さ”を、私は理解できない。日本の左サイドは、三浦(淳)という1つの選択肢しかないほど、人材が払底しているのだろうか。三都主不在という「災い」を「福」に転じようとは思わないのだろうか。こういうときこそ、村井(市原→磐田)、相馬(東京V)らを筆頭に、Jリーグから人材を募るべきだ。
何度も書くように、先発を事前に公表するジーコ流は、選手にも勝負にも適さない。最初から最後まで、試合に出たいのがスポーツ選手。先発を保証された選手はいいが、先発から外された選手はどんな気持ちの整理をするのだろうか。数ヶ月先の試合について、キミは先発で使わないよ、と言われたら調整に身が入る選手は少ないのではないか。
そればかりではない。一般論として、戦う相手に自分達の陣形を知らせる武将がいるのだろうか。緻密な作戦を立てる相手ならば、シミュレーションの機会を与えてくれて、喜ぶだろう。とにかく、代表監督には、全選手を横一線で見る視線が求められているのだ。

(3)「ドーハの悲劇」の埋め合わせ
日本代表がここまで、致命的な結果に至らなかったのは、神がかり的な強運からだ。さすが、「神様」だけのことはある。ジーコ監督の運の「強さ」は認めないわけにはいかない。
けれど、日本代表に続く幸運は、サッカーの本当の神様がドーハで日本代表が被った悲運に哀れんで、幸運を少しずつ返済してくれているだけなのかもしれない。返済が終われば、逆に、ドーンと悲運がやってくる。マージャンだって、一人勝ちは続かないじゃないか。


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