Sports Enthusiast_1

2005年01月01日(土) 元旦サッカーあれこれ

●「神」の豹変
日本代表監督はある新春インタビューで、「(世界と日本の差は、)人間。ブラジルにはロナウジーニョ、ロナウド、アドリアーノ、カカ、カフー、ロベカルがいる。アルゼンチンもテベス、クレスポ、サビオラ、アイマールがいる。これが(日本と)世界との差だ」と答えた。
また、世界との差を埋める手段について、「欧州選手権のギリシャ優勝を誰が予想した?1人ひとりのコマが歯車として機能するようにトレーニングしたから優勝した。だから日本にも、今のこの時期がチャンス。充実した力を出せばいい成績を収められる」と答えた。
あれあれ、現日本代表監督は前監督の「トルシエ路線」を否定して、一人ひとりの個性を生かすのではなかったのか。間違っても、代表選手を「歯車」なんて表現しなかったはずだが・・・この人のやりたいサッカーは何なのだろうか?日本代表の選手のレベルは、ブラジル代表やアルゼンチン代表と比べることもできない。素人の私にもそのくらいの戦力判断はできる。ならば、どうするのか、個々の選手のレベルを上げるのか?代表チームにそんな芸当はできない。クラブ所属の選手を独占することなどできないからだ。いまになって、「トルシエ路線」に戻ったのだとしたら、日本代表はおよそ3年間を浪費した。
●イエローカードの出しすぎ
東京Vと磐田の天皇杯決勝戦、東京Vが1点リードの前半終了間際、磐田の福西にスライディングタックルにいった東京Vの小林が二枚目のイエローカードで退場。ビデオで見る限り、何であれがイエローなのかわからない。私の目にはファウルですらない。試合中、磐田の福西はダイビング(シミュレーション)気味に倒れるシーンが多かった。きょうの主審はオレたちに有利、という意識が働いた結果だろう。福西という選手は、エルボーが多いし、フェアプレーから遠い。私はこういう選手を好まない。
そもそも、この試合の主審は磐田に有利というよりも、東京Vのチャージを一切かまわず、イエローにしていた。ファウルでいいところがイエロー。これでは、日本のサッカーが「お嬢様サッカー」になってしまう。主審が磐田に遠慮しているようでは、どうしようもない。ま、磐田の監督は有名人ではあるけれど。
結果は、一人少ない東京Vが2−1で競り勝った。前半、いいサッカーをしていた東京Vが主審のミスで負けなくてよかった。一人少なくなった東京Vが守備にまわったのは仕方がない。そのため、天皇杯決勝にふさわしいとは言えない試合になったけれど、試合をつまらなくした責任は、イエローカード連発でしかも誤審でレッドを出した主審にある。
●疑問多い新監督采配
磐田の新監督の采配には疑問が残る。まず、先発した西の左サイドがわからない。さらに、1人多い状態で交代した川口がDFラインの左サイドバックというのも疑問。TV解説のK氏も「川口は右サイドで力が出ます・・・」とコメントしていた。さらに、FWのグラウに代わってMFの藤田というのも分からない。藤田が点を取るパターンと言えば、二列目からの飛び出しか、ゴール前の混戦に二列目から割って入ってというのが常識。
これだけ選手が本来のポジションから外れれば、結果が出ない場合、選手の死活問題になる。新監督氏は磐田を立て直すつもりなのだろうが、破壊に近い。天皇杯決勝は、試行が許される試合ではない。さらに、若手を先発させ、後半20分にベテラン起用という、判で押した采配もスタミナのある東京Vのような若いチームには通じない。昨年のJリーグでは、東京V以上に鍛えられている市原に通じなかった。磐田がパワー不足なのは誰が見ても明らかだ。
選手をポジションチェンジで壊すようだと、磐田にストックされた有望な若手の伸びも止まる。東京Vでは、左サイドで代表の三浦(淳)をベンチに追いやった(三浦は名古屋に移籍)相馬や、きょうも一人少ない状態でワントップで獅子奮迅の活躍をして1点を上げた、FW平本らの若手が着実に台頭してきている。
天皇杯はだから、若手の台頭した東京Vと、ベテラン頼みの磐田の決戦だった。構造改革を済ませたチームとそうでないチームの戦いであり、世代交代の重要性を確認する試合だった。結果については、ご覧の通り。
磐田の才能のある若手が新監督の体制で壊されるようだと、磐田のみならず、日本サッカー界にとってマイナスになる。来シーズンのJリーグ10試合で新監督の選手起用に改善が見られないようならば、ネームバリューにこだわらず、早いとこ解任したほうがいい。


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