Sports Enthusiast_1

2004年12月29日(水) 悪童引退か

元ブラジル代表FW・ロマーリオ(フォマーリオ)が引退するというニュースが届いた。小柄ながら得点感覚に優れ、「本能のストライカー」とも呼ばれた。彼に「悪童」の異名がついたのは、クラブでの監督・同僚・サポーターとのトラブルや、セレソン(代表)における監督との軋轢が絶えなかったからだ。練習中、サポーターから鶏を投げつけられた話は有名だが、全盛期、ピッチではオーラに溢れていたとも言われている。バスコでは同じくトラブルメーカーのエジムンドとコンビを組んだはずだ。最後はフルミネンセか。ブラジルのクラブチームについて詳細を知らないので、間違っているかもしれない。
40歳近くだという話だが、最後まで代表復帰をあきらめなかったとも言われている。あたりまえだが、サッカーが心底、好きなのだろう。
さて、この報道は果たして本当なのか。多分本当なのだろうが、私は疑っている。「悪童」のことだから、数日後、引退宣言を撤回するのではないか。「オレは、そんなこと言っていない。記者のデッチ上げだ」なんてうそぶいて、どこかのクラブと契約するかもしれない・・・と、私は密かに期待している。でもこれまでかも・・・
私は、ロマーリオやエジムンドのようなヒール感覚のサッカー選手が好きだ。団体競技でチームプレーを強いられるサッカーだが、指導方針や規律になじまず、「本能」でチームを勝利に導く・・・なんてことは間違ってもあり得ないことを百も承知で、そんなサッカー選手がいればいいなと思っている。だから、ピッチ外で仲間や監督と衝突を繰り返す「悪童」の存在に、ロマンを感じてしまう。
試合中、勝手なことは許されないのがサッカーだが、いまの日本代表に最も欠けているのが、実はロマンや自由といった雰囲気ではないか。現代表監督は、前任者トルシエ氏の「組織や規律」に、「自由と創造性」を対置させたはずだが、やっているサッカーには、自由や創造性は皆無だ。さらに言えば、監督像として、ロマンや遊びが欠けている。
たとえば、トルシエ前監督自体、やんちゃ坊主のような風情を持っていて、顔を赤くして鼻の穴を膨らませて怒る表情には、大人が忘れてしまった幼児の「怒りの原型」のようなものが感じられた。
サッカーでは規律や組織が不可欠だが、それを否定する現監督のインタビューやコメントからは、楽しさ、悪戯、突発性のような要素を感じない。現代表監督は普段冷静な反面、サッカーボールに唾を吐いたり、審判にユニフォームを投げつけたりといった、「犯罪性」が潜んでいるように思う。
私はもっと、豊かな人間味のある勝負師が、日本代表監督であってほしいと願っている。いつもこの話になると繰り返して同じことを書いてしまうが、たとえば、一見シニカルで冷淡だが、ウイットに富んだ、オシム氏のような監督像が私の理想だ。


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tram