Sports Enthusiast_1

2004年12月11日(土) 後味悪いエメルソン

浦和と横浜のチャンピオンシップ(CS)は横浜がPK戦を制して優勝した。横浜の選手の頑張りに拍手を送りたい。鍛えられている。
CSは2試合で1−1。2ndレグは浦和が1−0で勝ったことになるのだが、横浜は中西が不可解な一発レッドで退場、数的不利にありながら耐えて延長戦に持ち込み、PK戦まで持っていって勝利をもぎ取ったことになる。
そこで問題の――横浜の中西とエメルソンがもつれた――シーンだが、主審のK氏がレッドを手に持っていたので、エメルソンがダイビング(シミュレーション)で退場なのかと思ったくらいだ。ところがななんと、退場させられたのは中西だった。K主審は、エメルソンに対して甘い判定が多かった。中西退場の場面はファウルはいいとしてもイエローでも重いくらいだ。
試合前、エメルソンがひざのケガで出場できないかもしれない、という報道が流れた。実際、故障だったのだろうが、一部ではブッフバルト監督の陽動作戦に違いない、という報道もあった。
想像可能な浦和の作戦は次の通りだ。1stレグ、横浜の厳しい守備で不発のエメルソンがケガをした、という情報を事前に流しておく。エメルソンは無理が出来ない身体だと。試合中、エメルソンは、横浜の正当なチャージにもこけてみせる。審判は、ケガのエメルソンに同情して、こけたエメルソンにファウルを与える、というものだ。
浦和の作戦は、成功した。エメルソンは必要以上に倒れ、多くのファウルを得た。実際ケガをしていて、無理ができないのでファウルをもらいにいったのかもしれない。が、審判の深層心理に「ケガのエメルソンを保護しなければいけない」という思いが自然に形成され、その無意識が中西退場につながった。実際はというと、エメルソンはほぼ120分間、終了間際のラフプレイでレッドカードを出されるまで動きまわれたのだ。
浦和の作戦及びエメルソンのプレイは、私の好むところではない。審判もきちんと見てほしい。終了間際、エメルソンがラフプレーに出たのは、自分に優位な判定が出ていると、エメルソンが自覚していたからだろう。きょうの審判は俺の見方だ、という確信があったからに違いない。がしかし、あのラフプレーを見過ごすようならば、K氏は審判をやめたほうがいいのであって、まさか見過ごすはずもない。エメルソンは試合終了間際に退場させられた。試合終了3分前くらいか・・・
勝利の女神は、そんな「浦和」を許さなかった。数的優位にある浦和に、勝ち越しゴールを与えなかったし、逆に、PK戦では横浜に微笑んだ。もし延長で浦和が勝ったとしたら、いくら「ホーム優位」のサッカーの試合とはいえ、エメルソンの演技に幻惑された審判の判定の故である。そんな結果にならなくて本当に良かった。
横浜は立派である。おかしな判定にも不満を言わなかったし報復もしなかった。ひたすら、走り、ボールを追い、身体をはって浦和の攻撃を防いだ。
私はこのコラムで、2ndレグは厳しい試合になる、と書いた。そして、いまさら戦術などないとも書いたが、もちろん、そのとおりの展開となった。横浜は、最終的にはボールの奪い合いに勝って、浦和を退けたことになる。この展開に水をさしたのがエメルソンが繰り返したシミュレーションだった。私は横浜の勝利に十分、満足している一方で、エメルソンを許していない。


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tram