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2004年11月23日(火) 「名将」、浮上せず?

磐田の新監督・Y氏がJリーグで二連敗。天皇杯では勝利したものの、リーグ戦では勝点すら上げられていない。五輪代表監督はマスコミから「名将」と持ち上げられたものだが、クラブでは勝手が違うようだ。でも、これは自然の成り行きと言うものだ。何度もこのコラムで書いたことだけれど、Y氏は事実上、監督稼業を始めて三戦して1勝2敗という成績をおさめたのにすぎないのだ。言うまでもないことだが、Y氏の監督としての実力を計ることなど、できる段階ではない。
磐田が構造的危機にみまわれたのは、04年シーズンのセカンドステージからだった。その予兆はもちろんあったけれど、ここまで急激に弱体化するとは思えなかった。選手ではゴン、名波、服部、藤田がピークを過ぎ、高原の穴をグラウが埋めたものの、外国人の補強がないまま、若手の台頭が間に合わず、勝てなくなった。才能のある若手として、カレン、成岡、太田、前田、菊地らが期待されるが、ベテランを抜けるまでに至っていない。
Y氏が打つ手は2つある。1つはハードランディングだ。ゴンに引退を勧告し、藤田、服部、名波の契約を更新せず、福西、田中の代表組を中心に、若手を抜擢して新しいチームをつくる。2005年シーズンの序盤は苦戦するだろうが、経験を積んだ若手が伸びれば、終盤にはチームの形も見えてくるのではないか。05年シーズンはもちろん、下位に低迷する。勝負は06〜07年。06年はW杯開催年だから、先に挙げた若手の2,3人が代表に呼ばれるまでに成長すれば、上位の可能性もある。
もう1つはソフトランディングだ。ベテランを残しつつ若手と併用し、つなぎとして、実力のある新外国人を加入させる。外国人、若手、ベテランが競争をしながらリーグ戦を進めるので、若手が経験を積む機会は奪われる。05年シーズンは上位をキープするだろうが、その先は見えない。若手の成長は間違いなく遅れるので、才能が埋もれる可能性もある。
さて、日本代表はアジア一次予選を全勝で勝ち抜き、ジーコ代表監督の更迭の声も聞こえなくなった。ジーコ更迭を訴え続けているのは当コラムだけになってしまったか。
先日の消化試合(シンガポール戦)を見ていないが、代表「控組」について、私は納得していない。4−4−2のシステムで、磐田(Jリーグ12位)の藤田、東京V(同8位)の三浦が先発したが、いかがなものか。藤田の衰えは、磐田がJリーグで勝てない要因の1つだし、東京Vの三浦は、相馬にレギュラーを奪われている。東京Vの相馬は、FC東京の鈴木(左SH)、市原の水野(右SH)と並んでいずれ代表に入る逸材だと私は思っているので、アルディレス監督の選手起用は正しい。その三浦が代表の左SBというのには、あきれる。もちろんいきなり、相馬が代表入りするわけはないので、三浦に代わるのは市原の村井だ。市原がリーグで3位の好成績を上げているのは、村井の頑張りがあるからだ。
ジーコ代表監督がJリーグで活躍する選手を代表に呼ぶ、と言っていることを実証するには、言うまでもなく、実際Jリーグで活躍している選手を呼ぶことだ。さらに、クラブ同様、代表の構造的弱体化を防止するためには、ベテランの力(衰え)を見極めることだ。
鹿島(Jリーグ7位)の本山、中田(浩)、小笠原の先発も不可解だ。ジーコ代表監督が鹿島出身だから鹿島に愛着を感じるのはわかるが、鹿島の低順位が証明するように、この3人が代表である必然性が乏しい。FWなら、本山の代わりに、G大阪(同2位)の大黒(日本人得点王)だろう。ボランチの中田の代わりには、市原(同3位)の阿部、浦和(同首位)の長谷部などたくさんの人材がいる。サッカーに限らずスポーツ一般では、伸び盛りの選手のパワーを利用することが常道だ。フランス代表のようにいつまでもベテランに頼っていると、本番でコケる。06年に向けて、日本代表がフランス代表の轍を踏む可能性もある。消化試合には、Jリーグで活躍している若手で臨んでほしかった。


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