Sports Enthusiast_1

2004年11月14日(日) 大リーグボール

大リーグボールといっても、『巨人の星』ではない。コミックの夢ではなく、スポーツの現実を書く。
日本のプロ野球では、「飛ぶボール」「飛ばないボール」が話題になったが、コミッショナーが仕様の統一に向けて動く気配はない。
そのようななか、11月5日から始まった日本プロ野球(NP)選抜とアメリカメジャーリーグ(MLB)選抜の親善試合が終わり、それぞれのチーム成績、各選手の個人成績が明らかになった。このたびの親善試合ではMLB仕様のボールを使用したそうだが、その結果であろうか、ホームラン数の差が著しい。8試合でMLB9本、NPわずか1本だ。両国の打者に打撃技術の差があるにしても、NPの1本が意味しているのは、NPが使用しているボールは飛び、MLBのそれは飛ばないということだ。読売が04年シーズンでチームホームラン記録を更新したが、記録達成の主因が「飛ぶボール」にあったことは間違いない。
NPがローカル・ルールにこだわり続ける限り、日本で行われている「野球」は、世界で行われている「ベースボール」と乖離してゆくことになる。
「飛ぶボール」をサッカーに喩えれば、日本のゴールのサイズが世界のゴールのそれに比べて広いようなものだ。「ファン」はホームランを求めている、ホームランは「ファンの夢」だ、なんて論理を唱えてはいけない。日本サッカーにおいて、いくら点が入らないからといって、日本のゴールが世界のそれに比べて広ければ、日本サッカーは国際試合で通用しなくなる。かりに、そんな環境で得点王になったジャパニーズストライカーに、世界のビッグクラブからオファーが入ることはないばかりか、日本サッカーは世界の笑いものだ。
「ベースボール」は五輪の競技だ。これまで低調だった欧州、アジアにも、野球人口が微増していると聞く。ならば、日本も国際仕様のボール(=国際球)を使用すべきだ。国際球がないのならば、MLB仕様でかまわないし、直近の五輪(=アテネ大会)で使用したボールでもかまわない。どちらかをNP仕様と決めればいい。ホームランが減って客が減りましたと言われても、こればかりは仕方がない。スポーツは、グローバルな発展をとげることでレベルが上がるのであって、ローカルに閉じこもれば、レベルの向上も市場の拡大も選手の交流も図れなくなる。
近年、MLBでパッとしなかった外国人選手が日本に来るとホームランバッターに変身することが多いように思う。読売のローズ、ペタジーニ、横浜のウッズ、西武のカブレラ・・・彼らがMLB仕様のボールでいったい何本ホームランを打てるのだろうか。外国人のパワーならば、NP仕様のボールであるかぎり、日本でホームラン打者として君臨できる。日本球界が高給を支払っている外国人選手は、実は、パワーが日本人よりあるだけの選手だったら情けない。打撃技術が低い外国人に大金を支払っているのだとしたら、それも赤字の遠因だろう。国際球の使用で何人の外国人ホームラン打者が残れるのか。日本人以上に、そちらの方に興味がある。


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