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2004年11月05日(金) 密約とは

報道によると、ダイエーが米投資ファンドのコロニー・キャピタルとの間で、コロニーが指定する企業に福岡ダイエーホークスを売却しなければならないという秘密契約を結んでいることが明らかになったという。ダイエーを支援するため査定を進めている産業再生機構はダイエーに説明を求める方針のようだ。このことは「外資による事実上の球団支配」に当たり、プロ野球機構の規程に反する疑いが濃い。
ダイエーは今年3月、コロニーに福岡市のホテルとドーム球場を売却した際に同契約を結んだようだ。まずコロニーがダイエーに対し球団の売却先候補を推薦し、ダイエーはプロ野球機構にそれを承認するよう働きかける。球団の譲渡価格はあらかじめ50億円と決められている。それ以外に球団の新オーナーは年間約30億円を広告宣伝費として負担する。初年度の新オーナーの負担額は合計80億円にものぼるという。
おやおや、ダイエー球団は、「公共財」を運営する主体にあってはならない取り決めをしているではないか。そればかりではない、ちょっと前のソフトバンクの球団買収報道(騒動)は何だったのか。ソフトバンクの孫社長は報道機関に対し、「(球団買収について)かなり前から、ダイエー側と交渉を行ってきた」というような意味の発言をしていた。となると、孫氏が嘘をついた――か、あるいは、ダイエー側が「密約」を隠して、孫氏に対応していた――か、のどちらかだ。私の推測ではもちろん後者だ。
ダイエー球団は、経営幹部の一人がセクハラ問題を起こして辞任した。今度は、プロ野球機構規程に反する可能性の高い密約を交わしていたことが明らかになった。しかも、密約は新たな買い手に高負担を強いる内容になっているから、契約に係る重要事項の隠匿に当たる。孫氏はとんでもない「買い物」をするところだった。
ダイエー及びダイエー球団がバブル時代、不透明な不動産投資を行ったという噂もある。産業再生機構がダイエーの経営実態を透明化するに伴い、ダイエー球団の経営実態も明らかになるだろう。産業再生機構の下、この先、何が出てくるかわからない。
ダイエー球団の買収の話は、ダイエーグループの経営の全貌が明らかになってからで遅くないばかりか、それなくして球団買収を進めてはならない。パリーグが5球団になって「ファンの夢」が消えてしまったとしても、真相解明の方がよっぽど大事である。マスコミは今度ばかりは、「プロ野球は文化だ」などと言わないでほしいし、選手もストなど打たないでほしい。球団の数を揃えさえれば、プロ野球が発展するわけではないのだから。


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