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2004年09月23日(木) 楽天は巨人になれない

近鉄撤退後のプロ野球のあり方をめぐる混乱が収束しそうだ。機構が選手会の要求をほぼ認め、今週末のストが回避された。マスコミは大喜び、ファンの声が選手を後押し、「経営者」が「組合員」に屈服したと「庶民」の心情を「代表」するかのような論調が紙面に溢れている。
この団交の副産物が、ライブドアーに代わる楽天の登場だ。どうやら、近鉄撤退後の新規参入は楽天で決まりのようなのだ。ということは、私が昨日、当コラムで書いた推論が全く外れたことを意味しているのだが、もし、ライブドアーを退けて楽天を認めるのならば、今回の機構の決断は、機構の自殺行為にほかならない。
機構は、新球団設立の申請者であるライブドアーと楽天の2社を審査して、パリーグ6球団に戻すと言っているようだが、審査基準とは何か。常識的に見れば、参入者は2社であって、パリーグは7球団にならないか。
機構の今後の動きとして考えられるのは、�/卦�参入が認められるのが05年シーズンからならば、セ6、パ7の変則になる、�⊃該困任匹舛蕕�を不適格にして、パを6球団に戻す(どうも楽天が受理されて、ライブドアーが落ちそうだが)、��2社の加盟を認めるが、業務開始を06年シーズンからにする、つまり、05年シーズンはセ6、パ5(既存の5球団のうち1社が撤退することを見越しての処置)、�い匹舛蕕�1社を05年シーズンに加盟させ、もう1社を06年からにする――などが挙げられる。
いま現在有力なのは、�△痢嵜該困任匹舛蕕�を不適格にして、パを6球団に戻す」だと思われる。しかし、こうなれば、機構は中世のギルド、貴族社会のサロンのような密室の世界であることを自ら認めたことになる。
ライブドアーがだめで楽天ならばいい、となれば、審査過程、審査結果が公表されたとしても、納得する人は少ないだろう。入社試験で実力に優劣をつけられない学生2人のうち、コネのある奴が採用されたような後味の悪さが残る。2社のうち1社を選択する決定打がみつからない。
もっとも、ライブドアーにしてみれば、申請が退けられても世間の同情を集めて企業イメージが上がるのだから、いい宣伝(パブリシティー効果)になることに変わりない。つまり、どう展開しようとも、ライブドアーの企業マーケティングは成功であることに変わりない。
きのう、ライブドアー1社の新球団設立を認めるのは不適切だと書いた。同様に、楽天1社というのも不適切だ。本来なら、近鉄撤退が決まったとき、オリックスと合併ではなく、近鉄球団を譲渡する方法があった。譲渡は公開入札、オークションなどによれば、ライブドアーと楽天が公正な競争により、新規参入できた。
さて、私は、まったく根拠のない推測で言って、ライブドアーという参入者に不審感を抱いている。ミエミエの結果論で恐縮だが、ライブドアーが新規参入を表明したとき、機構はすぐ参入を認めればよかったと思っている。この参入者の成功、失敗を見届けるという考え方も成立したはずだ。
なぜならば、ライブドアーが本当にプロ野球経営をする気があるのならば、新規参入を表明する前に、機構はじめ関係各所に根回しをしたはずだが、どうもその形跡が認められない。ライブドアーのH社長は、機構側から相手にされなかったと言われるが、私の感覚では、H社長がどういうルートでどのように機構等と接触を求めたのか――その方法が適切か否かが問われると思う。ビジネスにはルールがある。プロ野球界だって同じだ。それが為されなかったであろうことに、私はライブドアーという参入者に違和感をもっている。はっきりいえば、パブリシティー効果狙いが半分以上だったのではないかと思っている。
しかし、既存のルールを無視するのがベンチャーだ、という強弁もなりたつ。マスコミに打って出て、世間の注目を浴び、パブリシティー効果をつかって一気に自分の道を開いていく、というやり方がないわけではない。そんなのは、IT産業では当たり前だよ、と言われるかもしれない。とにかく、部外者の私にはわからないのだが、IT産業で当たり前であっても、多くのビジネス社会の一般ルールがそうでなければ、一般ルールを遵守すべきだと私は思う。
ライブドアーのまいたえさに、ダボハゼのように群がり、こんどは楽天だと騒ぎまくるマスコミはともかくとして、真にプロ野球の将来を考えるスポーツ愛好家ならば、機構がライブドアーを入口で締め出すことだけは阻止すべきだろう。資本主義社会では失敗をする自由は保証されているし、その一方、失敗者を救済する安全網の整備も求められている。ライブドアー?どうせだめだから、門前払いしとけではなく、自由にやらせて、結果を見る度量も必要だし、失敗を修復するノウハウも大事なのだ。
それだけではない。ライブドアーを締め出したとしたら、近い将来必ずや直面するであろう、ダイエーの撤退に対処できなくなる。ダイエーの撤退はない、という確たる見通しがあるのならば、今シーズンを境に撤退問題は起こらないのかもしれない。楽天を加えたパ6球団、セ6球団で長期安定なのだというのならそれでもいい。しかし、セの2球団を除いた赤字は改善されるのだろうか。楽天がパリーグの巨人になれるとは思えない。世間の風は、球団を増やせばいい、という方向に流れ出したが、プロ野球および球団経営の抜本的改革(とりわけ、所有と経営の分離)に目を向けなければ、赤字球団が増えるだけではないのか。


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