| 2004年07月09日(金) |
独禁法違反→球団の証券化へ |
1リーグ制に向けて、着々とプロ野球の再編が進んでいる。近鉄・オリックスの合併に続いて、おそらくロッテ、ダイエー、西武のうちの2つが合併してセリーグに合流する。この流れはだれも、止められない。 そもそも、日本のプロ野球は親会社の宣伝塔として設立され、マスコミに企業名が報道されることでよしとされた部分がある。電鉄系の場合、球団経営の目的は、すでに球団を手放した東急、西鉄、南海、阪急などを含め、まちづくり事業の一環だった。電鉄系ディベロッパーは、大都市近郊開発に伴い、住宅とともに文化施設を配置した。阪急は野球場、遊園地のほか、有名な宝塚劇場をつくった。東急、近鉄、南海、阪神、西武が同じ手法をとった。近代以降の日本人の都市居住者の多くは、電鉄系ディベロッパーがつくった住宅に住み、その鉄道を利用して職場に通い、休みの日はその電車を使って遊びにいった。 しかし、そうした郊外型まちづくり事業も、近年の少子化・人口減や都心居住の流れのなかで採算が合わなくなり、1980年代に役割を終えた。たとえば、大都市東京周辺においてでさえ、新たな近郊型まちづくり事業は行われていない。不動産業は、都心超高層マンション開発や都市再開発事業によって、利潤を得ている。近鉄は、三井不動産が成功させたテーマパーク事業(東京ディズニーランド)に倣って、志摩スペイン村を立ち上げ、テーマパークをきっかけとして、まちづくり事業の復活を図ったが失敗した。本業のまちづくり事業、テーマパーク事業の両方の失敗が、本体の経営を圧迫し、球団経営を窮地に陥れた。電鉄会社が悠長に球団経営ができる時代は遠い過去のこととなった。まちづくり事業が役割を終えるとともに、球団経営の意味もなくなってしまった。 関西一の人気球団・阪神の親会社である阪神鉄道は、鉄道会社・ディベロッパーとしては阪急、近鉄よりも小規模だ。しかし、阪神球団は人気があるから、親会社の経営と切り離して球団経営ができる。パリーグの西武はどうなのか。西武鉄道の経営状態はまったくわからないものの、近鉄よりはましだろうが、鉄道部門以外のまちづくり事業(ディベロッパー)の採算をみれば、いいはずがない。 だから、東急、西鉄、南海、阪急、近鉄、さらに三菱系の大映も含めて、広い意味でのディベロッパー系企業の撤退の流れを見るならば、西武、阪神がプロ野球経営から早晩撤退する可能性がないとは言えない。1企業が1球団を所有する形態が続くならば、球団数は今後も減り続けるだろう。日本の場合、球団経営が日本経済の変化、企業(業態)の盛衰とシンクロしているからだ。 さて、球団経営を経営主体のカテゴリーの視点からみれば、だれが参入してもかなわない。それをいまのプロ野球の統合機関が拒絶するのならば、独禁法に抵触する。球団経営を経営手法というカテゴリーでみれば、必ずしも1企業で経営しなければならない理由がない。オフィシャルサプライヤー、スポンサーシップ、市民参加(ソシオ)、命名権販売、冠イベント、テレビ等の放映権…等々といった、諸々の資金集めの手法がある。さらに、球団単体だけでなく、プロ野球機構全体で同じだけの集金手法がある。つまり、球団の収入の道は、入場料収入を基本としつつも、多様なのだ。親会社の宣伝費換算だけに限定する必要はない。たとえば、世界規模の企業が欧州に進出する場合、最もオーソドックスなマーケティング戦略は、プロサッカーチームのスポンサーの1つとなることだ。逆に言えば、プロサッカーチームには、企業がカネを出す価値がある。強ければ、収入の道は保障されている面もある。スポーツビジネスはグローバルだ。日本市場を狙う海外企業が日本のプロ野球球団のスポンサーとなる可能性もある。 さらに、球団という資産(財産)を証券化する手法も考えられる。不動産の証券化、売掛金、ローンの証券化などと同様に、現在の球団所有者は球団をSPC(特定目的会社)に一度売却し、SPCは球団という資産を担保に、債券を発行する。投資家はSPCが球団運営から利潤を還元されることを見越して、すなわち、高利の利回りを期待して債券を購入する。球団を真に愛するファンや、球団を必要とする自治体、スポンサー等が債券を購入する。証券は小口で換金できる(流動性の高い)ものでなければならない。球団経営が順調に推移すれば、証券の値も上がるし、配当も高くなる。真の野球ファンならば、球団自立の道筋を探るのが筋だろう。 いまのプロ野球界は、鉢巻や幟を立てて大騒ぎするだけの「ファン」と、スポーツを「民主主義」や「人道」に見立てた見当違いのマスコミの餌食になっている。その影には、Y新聞とA新聞の販売代理戦争があり、扇情的な報道に無知なファンは、乗せられてしまっているのだ。本当に「近鉄」が好きならば、なくなってから騒ぐのではなく、地域に根ざした大阪バッファローズとして、ファン一人ひとりが株主となって支えるべきなのだ。 プロ野球が収入の道を広げなければ、その衰退は深まるばかりだろう。
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