| 2004年05月05日(水) |
マロッタの屈辱―海外組の真相― |
報道によると、セリエA・サンプドリアのマロッタ・ゼネラルマネジャー(GM)はジェノバ地元紙のインタビュー記事で、FW柳沢敦との契約を今季限りで打ち切る方針を明らかにした。 同GMは柳沢について「このチームでの経験は終わるだろう。柳沢の獲得はアジア地域でサンプドリアの知名度をアップさせるために重要だった」と、チームの海外戦略での価値を強調。「技術面でずばぬけた期待をしていたわけではないが、恒常的に日本代表に招集されフルに力を発揮できなかった」と語ったという。 なんとも、悲しいコメントだ。マロッタGMは、柳沢の存在はサンプドリアにとって、広告塔にすぎなかった、と明言しているからだ。そこまで言うことはないだろうとは思うけれど、欧州サッカーの選手獲得基準が実力だけではなく、ビジネスが相当の割合含まれていることがよくわかる。このコラムでは、海外組を批判し続けてきたけれど、彼らに個人的恨みがあるからではない。彼らが実力とは異なるレベルで欧州チームと契約を交わす実態が私に分かっていたからだ。だから、公式戦であるW杯アジア予選等で彼らを優先的に先発に起用する日本代表監督の意図が理解できなかった。柳沢についての今回のコメントで、海外組とJリーグ組の実力に差がないことがよくわかったわけで、マロッタGMに感謝しなければいけない面もある。ということは、実力が国内組と変わらないのに、明らかにコンディションに問題のある柳沢を先発で起用した日本代表監督の選手起用基準とは何なのか、改めてそのことが問題になる。まさか、欧州チームと契約を交わしたという理由で、先発に起用し続けてきたわけではあるまい。 日本代表監督の誤りはもう1つある。マロッタGMがコメントの後段で、柳沢について「恒常的に日本代表に招集されフルに力を発揮できなかった」と語っている部分だ。これは明らかに、日本代表監督批判だ。柳沢が不本意な成績に終わったのは、フレンドリーマッチにいちいち柳沢を呼ぶ日本代表監督に責任があるよ、と言っているのだから。 観光旅行の経験しかない私だが、欧州と日本の往復はきつい。そこで90分激しい運動をしたとしたらと想像するだけで、心臓が止まりそうだ。いくら鍛えているプロサッカー選手でも、相当な負担となっただろう。 柳沢は二重の意味で悲惨な経験をした。広告塔として利用され、欧州ではベンチで試合に出られなかった、その間、日本代表として、日本〜欧州を往復させられてコンディションを崩し、欧州〜日本の両方で実力を発揮できなかった。海外の経験を積むことは悪いことではないが、海外の契約先について、サッカーができる環境なのかどうかを見極める必要があるようだ。 柳沢の事例は、海外の日本選手全員に当てはまる。だから、代表戦、少なくとも公式戦では、海外〜国内という垣根を外し、調子のいい選手を起用すべし。反対に、国内のフレンドリーマッチでは、俊輔だ、ヤナギだ、というミーハー的サポーターに彼らのプレーぶりを披露することは興行面・集客面で悪いことではない。が、そのために彼らがコンディションを崩し欧州のリーグ戦に出られない要因となるのならば、長い目で見てマイナスとなる。才能のある若い選手をつぶすのであれば、いくら短期的興行で成功しても、日本のプロサッカーの繁栄に寄与しないからだ。 マロッタGMのコメントから、日本代表監督は海外組の扱いについても失敗を繰り返してきたことが分かった。02〜04年、日本代表の空白の2年間と書いたけれど、空白どころではない、柳沢の契約解除を機に、損失の2年間であったことが明らかになった。
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