再び、いやなことを書かなければならない。気が重いが仕方がない。 暴挙というか愚行というか、どうしようもない「事件」だ。日本vsハンガリー後、TV映像がとらえた日本代表監督の礼を失した態度は、TVを見るものすべてを不快にさせた。ハンガリーと日本は、サッカーフレンドリーマッチを介して、親善を目指している。日本代表監督の愚行はそれを台無しにしたばかりか、審判というスポーツに必要不可欠な制度を否定するものだった。このコラムで、Jリーグにおける「唾吐き事件」を書いたけれど、ハンガリーの「ユニフォーム事件」もまったく、同じレベルにある。 「事件」は、ハンガリー戦後、ハンガリーの決勝点となるPKをとった審判に日本代表監督がユニフォームをなげつけたのだ。日本代表監督が投げたユニフォームは、日本選手が試合後、ハンガリー選手と互いの健闘を称えて交換したもの、すなわち、ハンガリー選手のユニフォームだ。スポーツ選手同士の神聖な友情の証である。 この「事件」に処分がないとするならば、日本サッカー協会は終わっている。日本代表監督は、代表選手の数人を合宿から無断外出したとして、出場停止処分にした。協会は、日本代表監督の処分を承諾した。ならば、自国の代表監督が第三国の国際審判員を冒涜した行為に処分を下さないとしたら、倫理観がマヒしているとしかいいようがない。 いまの日本代表監督は、選手時代、「唾吐き事件」でJリーグを馬鹿にし、代表監督になって、「ユニフォーム事件」で東欧の代表試合を馬鹿にした。その底流にあるのは、母国ブラジル、一部の欧州以外のサッカーを見下す態度だ。もちろん、日本も東欧のハンガリーもその中に、含まれている。「神様」とあがめられ尊敬された結果、理性を失ったのだ。代表監督としての資質以上に、人間性に問題がある。 そもそも、この遠征はフレンドリーマッチだ。公式戦でもなければ、タイトルがかかった試合でもない。ハンガリーが前半日本を圧倒し後半、日本が追いついた。確かに、点数からみれば白熱した試合だ。結末はホーム有利の判定のように見えるPKで、ホームの勝利に終わった。日本代表サポーターとしては悔しいが、日本代表だって、立場が逆転したケースなど掃いて捨てるほど体験しているはずだ。判定にいちいち文句をつけていたら、代表監督など務まらない。結果にアツくなって興奮するのは勝負師ではない。勝負へのこだわりは大事だが、許されることとそうでないことの判断力をもつことは、スポーツマンとして必要不可欠なことだ。審判に暴行を働くのは、ショー化されたプロレスの世界だけだ。もちろん、やられる審判もそのことは織り込み済みであるけれど。 日本代表監督の審判に対する暴挙を見過ごすことはできない。
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