J1は磐田が無敗で首位を突っ走っている。この先、だれも磐田を止められないのか。前節ではゴン中山が復帰ゴールをあげるなど、主力の故障で悩む他クラブを尻目に、ますます、戦力を蓄えている感がある。 磐田の強さの秘密は何か。一言で言えば、ベテラン健在だろう。主力では西選手以外がW杯日韓大会、フランス大会前後の代表経験者だ。外国人選手を除くと、中山、藤田、名波、服部、福西、田中、鈴木らが挙げられる。歌謡曲風に言えば、「昔の名前で出ています」というやつだ。このことは、Jリーグすなわち日本サッカー界の実力がここ数年、停滞していることを意味する。 Jリーグ各クラブの経営は苦しい。クラブは必然的に、人件費の抑制に走る。高額年俸のベテラン選手は放出され、そのポジションに実力の劣る若手が起用される。若手がレギュラーのベテランから、実力でポジションを奪うのがプロスポーツの「市場原理」だが、Jリーグではその原理よりも、クラブ経営の原理が働いているというわけだ。磐田というクラブにももちろん、選手の流動化はあるが、先ほど挙げた中山・名波・藤田・服部らは、他のクラブなら多分、抱え切れなかったのではないか。彼らが年月を重ねることにより、コンビネーションを熟成させ、戦術理解を高め、それを徹底する。磐田はますます、強くなるというわけだ。磐田の独走は、だから、Jリーグの今後の見通しを占う上では危険な兆候と言える。 チームには波がある。ベテランが健在で、強いシーズンが続くが、その間若手が伸びずベテランの力が衰えたとき、そのチームも弱体化する。一時期のヴェルディがそうだった。こうした事態を回避するため、チームはベテランから若手への切り替えを図る。当面チームの力は落ちるが、若手が育ってきた時点で、チームは再び強くなる。それが、チームプレーのプロスポーツにおける循環だろう。いまの磐田はこのサイクルの「ヤマ」にあたるが、「タニ」へと下る可能性が高い。藤田、名波、福西に代われそうな若手が磐田にいるかと問われれば、私は「いない」と答えるだろう。 もう1つ磐田の場合特記しなければいけないのは、高原が抜けた穴を外国人選手のそれ以上の働きで補っていることだ。つまり、ベテラン、外国人、若手の台頭・・・がうまくミックスすれば常勝チームがつくれるというわけだが、そうそう、うまくはいかない。チームが勝ちつづける条件は、選手ばかりか、監督・コーチ・トレーナー・・・などのスタッフの力が必要だということは言うまでもない。 クラブは、勝ちつづけるための諸々の条件を一つ一つクリアしていく。だが、たとえばレアルマドリードのように、あれほどの選手を集めながら、いま現在、スペインリーグのトップの座から滑り落ちた。Jリーグにおいては、磐田にストップをかけられるチームはいまのところ見当たらないように見えるけれど、磐田の主力選手にケガもあるだろうから、この先、磐田の勢いが続くとは断言できない。 とにかく、磐田は強いが、Jリーグの他クラブのレベルが上がらないことも独走の要因なのだ。Jリーグの若手が磐田のベテランに力負けしているようでは、日本サッカーの将来は暗い。ほかのチームの若手選手のますますの発奮を期待したいが、このような傾向は世界的な傾向である。代表でも、欧州で強豪と呼ばれたオランダがここ数年、「タニ」に当っている。スポーツは本当に難しい。
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