五輪アジア予選東京ラウンドがスタート。UAEがレバノンと引き分け、日本がバーレーンに敗れるという波乱の幕開けとなった。 ●UAE、またまた自滅 五輪アジア予選日本ラウンド初戦、日本のライバルと目されていたUAEがレバノンと引分けた(2−2)。実力からみて、UAEの勝ちは順当と思われていただけに、誠に意外な結果だといえる。日本にとって、きわめて、有利な展開となったが…。UAEが引分けに終わった主因は、ジョダールUAE監督が主力のマタルを前半温存したことだ。レバノンが前半とばしてUAEを圧倒、フリーキックからのチャンスを2度、得点に結びつけた。UAEの守備の甘さも目だったが、やはり、ジョダール監督がレバノンを舐めたことが引分けた最大の要因だろう。 この五輪予選、日本にツキがあった。繰り返しになるが、▽予選グループで対戦相手に恵まれたこと、▽UAEと日本での集中開催(予選6試合の半分をホームで戦えることは幸運以外の何ものでもない)、▽日本が調子の上がらないUAEラウンドにおいて、バーレーンに負けなかったこと、▽同じくUAE戦では、UAEが有利にゲームを進めたにもかかわらず、UAEのたびたびのシュートミスに救われたこと、そして、東京ラウンドでは、▽ジョダール監督が選手起用を誤って、初戦のレバノン戦、引分けに終わったこと――が挙げられる。UAEラウンドにおいて、田中(達)はじめ選手ががんばったことはもちろんだが、私には「神風」が吹き続けているとしか思えない。「神風」がこの先の日本ラウンド中、吹き続けるのだろうか。このあとの日本vsバーレーンで、その答えが出た。 ●「神風」吹かず 日本は負けた。バーレーンには負けるべくして負けたというべきだ。日本の試合内容は、UAEラウンドよりはよかったが、ゴールは遠かった。実力は日本のほうが上だとは思うが、バーレーンには日本にない厳しさがあった。試合は両者決定力に欠けるなか、日本のファウルでバーレーンがフリーキックを得た。そのフリーキックの跳ね返りがチャンスボールとなって、バーレーンの攻撃の選手の前にこぼれた。これまで日本の側に吹いていた風が、相手に渡った瞬間だ。日本にはすでに反撃の力が残っていない。 日本のダメージはこの試合の敗北だけにとどまらない。守りの中心選手の一人、トゥーリオが肉離れ(?)で故障して、残り2試合出場できない模様だ。 日本のバーレーン対策は不十分だった。UAEラウンドでの苦戦の経験がまったく、いかされていなかった。試合の大半、日本は、センターラインより後方に引いて守るバーレーンに対し、ロングボールを蹴りこんだ。しかし、効果は薄かった。この戦術が間違っていることは、すでに書いた。そして、そのとおりの結果が出た。日本は、効果の出ないロングボールを使い続け、ついに攻撃のバランスを崩した。というのも、再三指摘してきたように、(U23)日本代表の最大の欠点はトップ下にある。この試合の先発は前田だが、パワー不足は明らか。前田の弱点はトップ下にもかかわらず、キープ力がないこと。前田からボールがでてこないから、田中(達)が下がってボールをもらいにくるので、前線が手薄になって、シュートチャンスが生まれない。それだけではない。ロングボールというイージーな手段に頼ってきたため、相手と競り合ってチャンスをつくる攻撃の構築力を失った。中盤でバーレーンがプレスをかけてこないので、日本選手はボールキープすると、楽をして後方に回し、そこから、ロングボールを蹴りこんで相手に奪われる。このパターンを繰り返した。ロングボールが攻撃のバランスを崩したばかりか、戦う姿勢、無理をして局面を切り開くパワーを殺いでしまった。 いまさら言っても仕方がないが、山瀬、前田、松井の3人の併用といえば聞こえはいいが、Y監督はトップ下を育てられなかったわけで、名将でもなんでもない。これまで吹き続けた「神風」も止み、ついに、日本の「実力」が出てしまったわけだ。 日本ラウンド初戦の思わぬ展開で、日本、UAE、バーレーンが勝点7で並んだ。あさって戦うレバノンが、第一試合でUAEと引き分け、調子に乗った可能性もある。これで、日本は第二戦も息が抜けなくなった。日本は残された2試合、勝点1で終わる可能性も出てきた。UAEが調子を落としているなか、ひょっとすると、バーレーンがアテネ行きの切符を手にする可能性も低くなくなった。
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