やり手の川渕氏にしては、ぬるい結論が出たものだ。代表監督解任要求デモを受けて、ジーコ氏と対談した川渕氏が下した決断は、監督と選手のパイプ役として、日本人の新コーチを就任させることらしい。いまの代表チームコーチ・エドゥ氏はジーコ氏の実兄だが、エドゥ氏のコーチとしての実績を私は知らない。ブラジルサッカーに通じているサッカー評論家がエドゥ氏をどう評価しているかを知りたい。ただいえることは、この場に及んで、新たに日本人コーチを入れるということは、少なくとも、エドゥ氏がコーチとして機能していなかったことの証明になる。 この程度のプランで、効果が出るのだろうかといわれれば、大いに疑問だ。新コーチの名前は不明だが、おそらく、かつて「闘将」と呼ばれた柱谷氏か、「アジアの壁」の異名をとった井原氏あたりだろう。両人とも、W杯予選の厳しさを知っているので、代表選手の精神面を支えるには適任だ。日本人選手のコンディションもわかる。また、新コーチの人望によって、いまの代表チームに「和」が形成され、選手達に戦う姿勢が出るかもしれない。さらに、新任コーチが予選を経験することにより、指導者として成長する可能性もある。これは、副次的な効果だが。 川渕氏のアイデアは一見、すばらしいように思えるが効果は薄い、というのが私の予想。このアイデアでは、いまの代表チームが急激に変わることはない。 いま問われているのは、監督が代表チームについて、具体的イメージを持っているかどうかなのだ。練習方法、選手選考・起用・コンディション等についていくらコーチが情報を提供しても、監督がオールスターチーム=代表チームという概念を捨てなければ、現状のままだ。一流=海外組、彼らを呼べば、代表は勝てる――これがジーコ監督のチームづくりのすべて。こうした発想は、プロ野球界にもある。日本代表とよく似た発想のチームとして、読売ジャイアンツが挙げられるが、昨年はリーグ優勝すらできなかった。メジャーでは、金満NYヤンキースがWシリーズで貧乏チームに負けた。 川渕・ジーコ対談の裏の結論は、代表から、ジーコファミリーを放逐することか。
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