ここのところ、サッカー日本(フル)代表、同五輪代表(U23)の試合を続けて見ることができた。サッカーファンにとって、とても楽しい一週間であった。試合結果はフル代表が4−0(マレーシア)、2−0(イラク)、五輪代表が1−1(イランU23)、1−1(ロシアフル代表)と、まずまずというか、一見期待がもてるように思えるが、私の受け止め方はとても悲観的だ。 まず、フル代表のほうだが、実力的に開きがあるマレーシアはともかくとして、イラクには勝ったことは勝ったが、実力からすると互角だろう。ホームで互角だから、アウエーならイラクのほうが勝つ確率が高い。解説のE氏が言っていたように、得点差は2あるが、得点機でいえば3−2くらいで負けていた。しかも、日本の得点は三都主ひとりで上げたようなもの。1点目は左サイドから柳沢に正確なクロスを出してアシスト。2点目は三都主と久保で、ワンツーを見事に決めた。三都主がゴール付近で暴れなければ、日本の得点は生まれない。そもそも、いまの日本代表の中で、海外組の中田を除いて、自ら得点機会を生み出せる選手は三都主しかいない。この試合のシステムは4−4−2で、二列目の左は藤田。しかし、藤田はサイドからの攻撃よりも真ん中で持ち味を発揮するタイプ。三都主が左のSBなのでゴールまで距離がありすぎる。三都主が前に出ない限り、日本は得点機会が生まれない。三都主が前に出るということは、DFが薄くなる。後半、俊輔が藤田に代わって出場したが、まだまだ。体力的にも判断力からみても、国際試合では使えない。結論としては、3−5−2で中田を中央にしてサイドハーフは左が三都主、右が両山田(浦和・東京V)の選択。俊輔は三都主の控えか中田の控え。もしくは、ボランチの控え。 なお、DFでは、坪井の調子が落ちているのが気になる。DF3人は、宮本、中澤、坪井だが、坪井が悪ければ控えもありえる。さて、坪井の代わりはだれ? U23の最大のウイークポイントは監督。まず、トゥーリオの攻撃参加は、危険度が高すぎる。彼のプレーはいわゆる、リベロとは違う。ロシア(フル代表)戦では博打に勝ったが、勝つ確率は低い。このまま放置すれば、痛い目にあうだろう。 ダイレクトにこだわりすぎるのも危険。これはすでに書いたとおり。トゥーリオの攻撃参加とダイレクトプレーから生じるミスは、失点を覚悟しなければいけない。 ではなぜ、こんな危険でハイリスクな戦術をこのチームはとるのか。その理由は前に書いたように、U23のY監督がプロの監督ではないからだ。一度でもリーグ戦でチームを率いたことがある人ならば、失点の厳しさを知っている。ところがY氏にはコーチ経験しかない。負けの責任を取ったことがないのだ。だから、「遊び感覚」=「試行」が許されると思ってしまう。どこまで自分の理想追及をしていいのかがわかっていない。負けてはいけない試合、勝たなければいけない試合、失点してはいけない時間帯、バランスを崩してはいけない状況――そこがY氏にはわからない。 プロの監督ならば、経験によって状況を理解できる。そこでやってはいけない戦術を選手に徹底する。 ところが、コーチは違う。勝つための条件を整備すること、将来を担う人材を育てることなどが仕事だ。「勝つため」という目標は監督もコーチも同じだが、仕事の「内容」と「責任」が違う。 Y監督は、いまトゥーリオを育てようとしている。Y監督のイメージはきっと、自分が信じる理想のDF像かもしれない。しかし、五輪予選は来月に始まる。実験をしている暇はない。ダイレクトプレーも同じこと。自分の求めるサッカースタイルを追求するのはいいけれど、自己陶酔をしている段階は過ぎている。
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