Sports Enthusiast_1

2003年12月26日(金) 雑誌

『Number』といえば、日本では数少ないスポーツ専門誌として知られている。日本のスポーツジャーナリズムはスポーツ新聞が主流。新聞の紙面づくりを見ると、大きな見出し、センセーショナルな記事が中心で、しかも、紙面が芸能スキャンダルと混在していて、スポーツの専門的分析記事はない。あるいは、野球の人気球団の広報紙として機能しているものも多く、記事内容は大本営発表か新聞辞令といわれる人事に偏向している。ファンクラブの機関紙みたいなものだ。大きなカラーの見出しばかりで、内容はきわめて薄い。
そんななか、『Number』は、純粋なスポーツ専門誌としての特色を出してきた。今月の特集は日本サッカー。早速買ってみた。記事はジーコジャパンの評価が中心で、Kキャプテンがジーコ監督の評価についてコメントしている。もちろん結論を述べたわけではないのだが、Kキャプテンの発言内容から勝手に類推するならば、ジーコ監督の去就はまな板に乗ったと私は読んだ。つまり、結論は出ていないけれど、ことあらば解任も近いうちにあり得ると。
特集のなかでもっとも面白かったのは、市原のオシム監督に係るもの。市原の中心選手が、オシムの監督としての手腕を高く評価している。やはり、この監督の力量は私が見込んだとおりだった。具体的な指摘については、この雑誌を読んでください。その一方、オシム監督がマスコミ取材に対して極めて慎重であることを初めて知った。「オシム語録」が出てくる経緯を詳しく知りたいものだ。オシム監督に会って話をしたいものだ。
さて、この雑誌の全体の印象を言えば、「オシム特集」をやったらいい、と思うくらい、オシムに係る記事以外は面白くなかった。ジーコ監督の切り方に鋭さがない。批判すればいい、というのではない。両論併記もしくは、支持者、批判者それぞれの熱い論が読みたかった。特にジーコ支持者の支持の根拠を展開する論理がどれも弱い。
実は『Number』を購入して読んだのは今回が初めて。これまでは、立ち読み専門だった。すわって読んだ印象としては、巨大出版社のエリート編集者が何時間も編集会議を開いてつくった文芸誌のような感じ。「出版エリート臭」が滲み出ていて、つまらない。スポーツはやる方(選手)にも、指導する方(監督等)にも、見せる方(興行師=協会)にも、欲望や嫉妬が渦巻いているのが普通だ。カネ、自己顕示欲、見栄、妬み等々のいわばダーティーな部分だ。そこがスポーツの「面白さ」の原点の1つではないか。
この雑誌の限界は、たぶん、このダーティーさを避けているところだ。スポーツは美しい、健全だ、選手は純粋だ…こうしたスポーツへの盲目的信仰が編集ポリシーなのか。今回、1つだけ色物として、代表監督の人脈を戯画化した読み物があったが、それはそれとして、選手や指導者や協会幹部の欲望を認識したうえで、あえて「美しいスポーツ」に復帰するのであれば、リアリティーが出てくるのではないか。
アスリートは美しい、スポーツは純粋だ、では、それはこの雑誌に従事する編集者の錯覚と自己陶酔でしかない。


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tram