相手は格下で、2年後のヨーロッパ選手権に向けてチームづくりを始めたばかりのスロバキアである。柳沢の右サイドはなにを意味するのか。周りが実験室よりもコンビネーションの熟成を意見することへの、トルシエ流の抵抗か。 日本VSスロバキアの一戦は日本が1−0で勝利した。内容的には点差以上の開きがあったが、それもスロバキアが弱すぎるからである。試合を通じて、スロバキアは攻撃の形をつくることがなかった。ただピッチを走っているだけ。チェコスロバキア時代、日本など足もとにも及ばなかった強豪国だっただけに、その一角のスロバキアナショナルチームのこの衰退ぶりに失望を禁じ得ない。 それに応じたかのように日本の攻撃も弱いものであった。セレッソコンビで1点をとったものの、ゲーム中、攻撃陣にパワーを感じなかった。唯一の例外が三都主で、左サイドからの彼の仕掛けだけが攻撃性を感じさせるものだった。久保にも惜しい場面があったが、あれは決めて当然の場面である。 日本代表の弱点はいい選手のポジションが偏っていること。いいところと悪いところの差が激しすぎるのだ。最大の課題は右サイド。トルシエに与えられた方程式のうち、彼はとうとう右サイドのXの答えを出さなかった。残り1ヵ月を切った時点でこんな状態でいいのかどうか。右サイドには、例えば南米で活躍した広山という選択肢もあったのだが、もう手遅れである。 今日の試合はテストマッチなのだからこれでいい、という考え方もあるのだろうが、先日ビデオで見たブラジルVSポルトガルのテストマッチとはレベルが違いすぎる。サッカーの質が違いすぎる。予選突破は依然、厳しい状況にあることに変わりない。
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