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2013年05月01日(水) |
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Maia |
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不安定な大気によってもたらされた白くくすんだ大気が、街の輪郭を滲ませる。 頼りない日差し。 それでいて肌を撫でる南風は、昨日よりだいぶ優しい。
カーテンを閉め、部屋に干した洗濯物を眺めて鼻を鳴らす。 予報では午後から降ると言っているのだから、仕方がない。
玄関でwescoかred wingか迷い、結局Gore-Texのadidasに足を突っ込む。 降ると言っているのだから、仕方ない。
駅までのんびりと歩く。 時折、潮の匂いが運ばれてくる。 雲の隙間から一瞬のぞく太陽は確かに夏だ。 心がそわそわするのが何よりの証拠だ。
こんな日は、海岸で日がな一日過ごしたい。 適当な流木に腰を降ろし、名も知らぬ作家の短編など読んで疲れない本のページをめくる。 時々タンブラーのアイスコーヒーで喉を湿らせ、時々目の前の海で遊ぶサーファーの姿を追いかける。 犬を連れた女、老人とその孫であろう幼児、旋回する鳶、打ち上げられた海草の間を突いて歩くカラスたち。 時折空を銀色の飛行機が横切り、空に一本の対角線を作る。
そこまで想像してもう一度鼻を鳴らす。 予報では午後から降ると言っているのだから、仕方がない。
スタバの、コンセントのある席はもういっぱいだろうか。 iPadのバッテリーを充電してなかったことを少し悔やむ。 空は見上げる。 本当に降るんだろうか? 気に入りの靴じゃないと、一歩踏み出す足が重い。
五月の空は、君に似てる。 君の瞳も気まぐれに、曇ったり輝いたりする。 時々ぐずついて涙を流すところもそっくりだね。
恋してるから、仕方ない。 君だから、仕方ない。 仕方ない。
仕方ない。
やっぱり、海に行こう。 砂浜じゃwescoもred wingもadidasも関係ない。 どうせ裸足になるんだ。
予報では午後から降ると言っている。
仕方ないは、雨に濡れた後、言うことにするよ。
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