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2011年09月14日(水) |
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彩月 |
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今日はサイの命日だ。 時々、もう一度会いたいと思う。 いつも、上の空の目をして遠くを見つめてた。 いつか、遠くに行く子なんだと思ってた。 意外に早くやって来たお別れに、唖然とした。
時々思う。 繊細すぎる子が生き残るってのは、なかなか大変だ。
サイはキレイな子だった。 黒く豊かな髪、いつも少し潤んだ瞳、そして磁器のような白い肌。 彼女は生まれてくる姿を間違えた。 鶴に産まれれば良かったと思う。 姿を消してしまっても、シベリアかどこかで幸せに暮らしてるんだと信じることができた。
サイと夜歩いたことがある。 確か、石巻だった。 海につながる、川沿いの道だった。 波の音が聞こえてた。 サイは、雲間に浮かんだ月を眺めながら 「キレイ。今、ここで、死にたいな。」 と呟いた。
中秋の名月に、二日ばかり遅れた。 君に何を手向けよう?
天気予報は晴れ。 今夜も、月はキレイだ。 君がいなくても、きっとキレイだ。
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