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2008年05月15日(木) |
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Jellyfish |
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胸の奥に神様の落とした釣針が引っかかって、眠れない夜。 そんな時、君は空を見上げるんだって言った。
水面越し、煌々と照る月に。 ゆらゆらと瞬く星に。
あるいは、曇天の空に。 油を流したような動かない闇に。
唄うんだって言った。
そのまま海流に抗わず、 歌を唄いながら夜の海を漂うんだって言った。
君の唄う歌はどこか遠い国の祈りの言葉みたいで、 べったりと凪いだ夜の海に、ソーダの泡みたいに浮かんでは消える。
君の歌、好きだったよ。 でももう聴こえないんだ。
君は流れて遠くまで行ってしまった。 死んだ女より遥か遠くまで行ってしまった。
神様の落とした釣針は今、きっと僕の胸にある。
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