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2007年10月11日(木) |
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酒を飲み、セックスをし、たまに血を流す。 |
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君は僕に背中を向けて、携帯に向かってひそひそと何か囁いてる。 僕は視線を下げ君の足を眺める。 膝裏の静脈の青く透けた足が妙に艶かしい。
電話をカバンにしまった君は、眉毛を少し寄せた顔で振り返り、 「ごめん。会社からでした。」 と早口で言った。 口先をアヒルのように尖らせ笑う。
その顔、君が嘘を誤魔化す時に必ずする顔だと教えてあげたかった。 そして女はみんな同じような顔で嘘をつくとも教えてあげたかった。
もっともそれは、女に限ったことではない。 僕もたぶん似たような顔で嘘を誤魔化しているんだろう。
君は腕を組んできた。 並んで歩く時はお互いの表情を読んだりはしない。 僕はもう君のついた嘘など忘れ、アーウィン・ショウの小説みたいに渋谷の街を歩くキレイな女たちをより多く視界に入れようとする。
酒を飲み、セックスをし、たまに血を流す。 女は簡単にできてる。
ただし、 酒を飲み、セックスをするだけの男よりは、多少なりとも複雑だ。
「お腹すいちゃった。」 君が囁く。 「飲むような処でいい?」 君はニッコリ笑う。
女は酔うと顔色が蒼白になる。 ラブホテルの薄暗い照明の下でみると青磁器みたいに見える。 さっき眺めた膝の裏の静脈の青をふと思い出す。
僕もニッコリ笑う。
依存心と自尊心。 酒とチョコとジャンクフード、それにコミックとHMV。 青山に路面店のあるようなブランドの服と、キレイに塗れたネイルとキレイに巻けた髪。 嘘ついた後のアヒル口。青磁器みたいな肌。 そこに水を注げばたぶん君になる。
ようするに、 どこにでもいるような女だ。
でも僕は、 そんな君が大好きだよ。
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