職業婦人通信
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2004年08月26日(木) はずかしいおとうさん

オリンピックも終わりに近づいているわけですが

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私が今、一番深く思い入れを寄せている人物は
誰あろう、
浜口京子(オリンピックレスリング代表)である。

あれだけ期待されといて金メダルを逃したのは可哀想だし残念だが
なによりも彼女が「あのお父さんの娘」であることが
私には勝手に哀れに思われてならぬ。

そりゃね、
アニマル浜口の子じゃなかったら
レスリングなんかやってなかったかもしれないし、
そしたらメダルも取れてなかっただろうし、
アニマル浜口の子でよかったかどうかは
本人にしかわからないことであろう。
他人の私が余計な忖度してもはじまらない。

が、それでも、
そこらじゅうで大声ダミ声はりあげて
『気合ダァ〜』とか言われるだけではなく、

『美獣になれ』とか言われたり(・・・ビジュウ?)、

雷門前で旗手の練習(父親の太鼓つき)させられたり

人前で真っ赤な海パン履かれたり

果ては一緒に風呂に入らされ、それがテレビで不特定多数の目に触れたりしたら

どうであろう。ちょっと考えてごらんなさいよ。
普通の娘なら泣きたくなるところである。
私だったら間違いなく家出する。出家する。出奔する。
少なくとも、おとなしく父親にレスリング教わったりしてないと思う。

暴走機関車と化し、気合気合とおめきつづける父親を
いつも困ったような曖昧な笑顔で見つめ、
「お前も気合ダァ」と水を向けられると
素直に「ダァー」と言ってしまう娘。
見てるだけでこっちは涙が出そうになる。哀れで。

万が一、好きでやってるんだったら何も言うことはないが
あの表情見る限りじゃ好きでやってるわけじゃあるまい。

そもそも私は自分も『はずかしいおとうさん』の娘だっただけに
京子(親近感のあまり呼び捨て)に対する感情移入は人一倍強いのだ。

ウチの父ときたら若い頃から『喧嘩王』と言われた男。
家庭内でも
幼い娘(千代子)が「目に水が入る」とシャンプーを嫌がったからという理由で
娘をびしょぬれのハダカのままで外に放りだす暴君であったが
人前でもまったくその短気ぶりというか喧嘩っぱやいところに変わりはなく、

母との結婚式に「喧嘩してて」遅刻した、という話をはじめ(母はいまだにそれを恨みに思っている)、
私が生まれた後も、
往来でガン飛ばされたといっては見知らぬ人と喧嘩になり、
高速道路で煽っただの煽られただのと見知らぬ人と喧嘩になり、
頼んだメニューの出てくるのが遅いといっては店長を呼びつけて大声を出すという
トラブル頻発男であったため、
幼い頃から、娘の私は父とどこかへ行くのがイヤでたまらなかったのだ。

友達と遊んでいるところへ父が通りかかったりすると
息をつめて「おとうさんがはずかしいことをいいだしませんように」
と神に祈ったものである。

そんな父も還暦を迎え、すこしはおとなしくなったかと思いきや、

先だって、父が経営する店に顔を出したところ、
どういう経緯か忘れたが父が客に喧嘩を売り、
「おめぇちょっと外出ろォ!」(って店主が言うのも変な話じゃない?)
と、客を連れて外へ行ってしまい、
残された私はオロオロしながら他の客に謝ったりしたのである。

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ゆえに、私は勝手に浜口京子に勝手な愛惜の念を禁じえないのだが
ガッツ石松の娘が父親の奇行を本にして稼いでるのを見たりすると
「意外に京子もああいうイジられ方されてOK牧場なのかもね・・・」

と、思ったりもする。

どうなんだろうね。本人は。


PS もう腰はほぼ治りました。メール下さった方ありがとうございます。

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最近読んだ本
『血脈(上)』佐藤愛子(文藝春秋)★★★★★
『血脈(中)』佐藤愛子(文藝春秋)★★★★★
積ん読になってたのこの大作についに着手し、すっかり夢中。
佐藤紅緑・サトウハチロー・佐藤愛子を輩出した佐藤一族のものがたり。
家族ってほのぼのしたいいものばかりじゃなくて、
一歩間違うと凄惨なものになりえるんだよねぇ。怖ぇぇ・・・。


千代子 |MAIL
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