職業婦人通信
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2004年06月30日(水) 氷水と専務

私はかつて、ほんの数か月だけ役員秘書の仕事を
今の仕事(広報)と兼務していたことがある。

それまでの秘書が辞めちゃって、次の秘書が見つかるまでの
期間限定だったので、

「ちょっと秘書ってカッコいい響きだし、
 面白そうだからやってみてもいいんじゃん」

ぐらいの軽い気持ちで引きうけたのだが・・・

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私が担当した役員は専務1名・常務2名・監査役2名の計4名。
この4名に対する1日の主な秘書業務を列挙してみると、


【千代子 1日の秘書業務】

 8:30 朝刊を全役員の机に置く。
      専務と監査役2名に日本茶、常務2名にはコーヒーをお入れする
      1日のスケジュールを伝える
      お昼ご飯が必要な役員から店屋物の発注を受ける

      (以降、適宜来客があれば茶を入れる)

 9:30 専務の喉が乾くので茶を入れなおす。おしぼりもつける。

10:30 また専務の喉乾く。茶を入れなおす。おしぼりつき。(以下1時間ごとに繰り返す)

11:50 天丼やそばなど、店屋物が届く。
      お茶とおしぼり、インスタント味噌汁を添え、全役員に配布

12:40 昼食を下げる。器を洗う。
      全役員に茶とコーヒーを入れなおす。
      専務には薬を飲むための水を1杯。

13:30 専務の喉は断続的に乾くので午後も1時間ごとに茶を入れなおす

14:00 もらいもののお菓子があるか在庫確認、
      なければ買いに行く(役員のおやつ用)

15:00 全役員におやつと茶を出す(おしぼりつき)
      (15:30に下げる)

16:00 夕刊を全役員に配布

17:00 専務に薬を飲むための水を1杯出す

18:00 全役員を見送り、役員室の簡単な掃除をし、鍵をかける



これだけだったら「別に大したことない雑用じゃん」って思われるかもしれないが
私は一応、自分の本来の仕事(広報)を持っている。

広報の仕事もしながら他人の世話をつきっきり(に近い)で
やらなきゃならないので、もんのすごぉぉぉーーーーく面倒だった。

とにかく手がかかるのは専務。
しじゅう喉がかわくわ、薬は飲むわ。
そのくせ専務はほとんど仕事らしい仕事をしておらず、
新聞と本を読んでるところしか見たことがなかった。

ちょっと広報の仕事に集中していると
すぐに専務にお茶を入れ忘れてしまうため、
ついには目覚し時計のアラームをセットして
1時間ごとにお茶を入れ替えていた千代子であった。

そんなある日の夕方。

専務室から電話があり、専務が
「千代子ちゃん、水と氷持ってきてくれる?」
という。

(さっき薬を飲むための水は持っていったばっかりなのにまたかよ・・・)
と、心の中で舌打ちしながらも
コップに氷水を入れて持っていくと

「ちっがーーーーう!」と一喝されてしまった。

見ると専務の机の上には
上物のウィスキーが1瓶、置いてあるではないか。

専務は「氷水」ではなく、
ウィスキーを飲むための「氷水」が欲しかったのだ。

・・・あんたねぇ・・・。

1時間に1回お茶が入り、
一日中新聞読んだり本読んでのんびりしてて、
毎日3時にはおやつが出てる
至れりつくせりの環境にありながら、

ついには酒ですか。

役員といえども、就業時間に机で酒を飲むのですかアンタは。

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私は、自分が出世とは縁のないヒラOLであることに何の不満もなく、
出世したいなどと思ったことはただの一度もないが、

このときばかりは思った。

「アタシも専務になりたい・・・」
と。

だって専務になったら
仕事しないで酒が飲めるんでしょ?(大きな勘違い)


千代子 |MAIL
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